0309 所得税112 給与所得17 賃金計算の概要(給与計算)

さて、これまで税法上の給与に該当する収入について調べてきました。それは基本給以外の手当や経済的利益と呼ばれる「特殊な給与」の類で、今回からは「基本給」の計算や規則について紹介してゆきます。

給与の構成は、様々な「手当」と、基礎的な賃金「基本給」の2本柱が収入の重要な地位を占めています。基礎的な賃金とは、言い換えれば労働の対価として保証された収入で、この基本給から時間外労働や休日出勤などの「割増賃金」を算出します。

「基本給」+「割増賃金による手当」+「条件による手当」+「その他」=総支給額で、その他の欄にはそれぞれの企業や個人的な立場によって、手当の名目や手当の有無が異なってきます。例えば「非課税支給」や「修正額」などがあります。
割増賃金による手当の具体的なものは、「時間外労働手当」や「深夜労働手当」、休日労働手当や宿日直手当などで、条件による手当とは「通勤手当」や「役職手当」、「家族手当」や「住宅手当」などです。

上記のうち「基本給+条件による手当」が固定的給与にあたり、「割増賃金による手当」が変動的給与にあたります。総支給額=「固定的給与+変動的給与」とも言えます。

総支給額から健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料を差引き、次に所得税や住民税を控除し、生命保険や損害保険の天引き、あるいは社員持株制度による拠出金の天引きがあるかも知れません。
社会保険料」+「所得税など」+「その他」=総控除総額で、「総支給額」−「総控除総額」=「手取り額」となります。
 
これらの計算は、サラリーマンであれば毎月の給料と一緒に貰う「給与明細」によって簡単に確認できる計算ですが、その所得の詳細な算出、つまり給与計算事務による賃金計算の詳細を整理すると以下のことがあげられます。

●法律や規則など
基本給である「賃金計算」には、様々なルールが「労働基準法」によって定められています。また、休憩や休日なども同様に規定されています。
この労働基準法は使用者が労働者に対して、必ず守らなければならない「最低限のルール」とされ、労働者保護を目的としていますが、実際にこれらのルールを定めるには事業場単位で、使用者と労働者との話合い、約束によって書面で定めてゆきます。
これらルールの策定には幾つかの異なる約束事が出てきますが、使用者が「誰」と「どのような内容」について約束をしたのか、で分かれてきます。
(1)労使協定 → http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130824/1377343602
(2)三六協定 → 上記(1)労使協定を参照
(3)労働協約 → http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130802/1375405181
(4)労働協定 → 労働協定は労働組合のない場合で、協約は労働組合が対象となります。上記(3)を参照にして下さい。
(5)就業規則 → http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130708/1373245295
(6)労働契約 → http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130826/1377478747

●休日の扱い、賃金などの計算規定
前述した、労使協定や就業規則などに定められている条件に従って賃金の計算を行います。
(イ)休憩、休日、遅刻、早退        → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130825
(ロ)有給休暇               → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130829
(ハ)産前産後休業、育児休業、介護休業など → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130901
(ニ)労働時間に関する規定         → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130903
(ホ)一ヶ月単位の変形労働時間       → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130907
(ヘ)フレックスタイム           → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130911
(ト)一年単位の変形労働時間        → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130915
(チ)一週間単位の非定型的変形労働時間 → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130919
(リ)みなし労働時間            → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130925
(ヌ)割増賃金               → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131001


※労働時間や休日、休暇に関する労働基準法http://www.pref.shiga.lg.jp/f/rosei/wlb/wlb04/files/23-31.pdf

経済的利益
前述した「手当」、あるいは手当と言う項目でなくとも、会社や事業主から得たものが、税法上の経済的利益にあたり給与所得として判定される可能性があるもの。または、非課税の扱いとなるもの。
(あ)交通費、食事代など     → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130711
(い)現物支給、資格取得費、他  → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130717
(う)旅費(転勤等で)      → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130719
(え)福利厚生          → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130721
(お)貸付金           → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130723
(か)社宅、寮など        → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130725
(き)発明、表彰など       → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130727
(く)使用者が支払う保険料    → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130803
(け)使用者が支払う損害保険料  → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130805
(こ)ストックオプション     → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130811

●控除項目(法定控除)
前述したものが、賃金や手当などの給与における加算項目にあたり、次に社会保険料や税金などの減算項目となり、下記のようなものがあります。
(A)健康保険料     → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120201
(B)介護保険料     → 上記、健康保険料を参考にして下さい。
(C)厚生年金保険料   → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120427
(D)雇用保険料     → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120301
(E)源泉徴収税額(所得税)→ http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131023
(F)住民税 → http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131009

●年末調整→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131227
サラリーマンなどの場合では、毎月の給料時に源泉徴収税額が所得税として天引きされています。つまり、年末で締切る所得税納付額の前払いとなっているために、この年末調整によって清算することで、納付額の過不足を洗出し、確定を行います。配偶者特別控除や生命保険料控除など、手続きによって最終的な控除も年末調整で行います

サラリーマンでは毎月、働いて会社から頂戴する給料ですが、その給与計算は単純とは言えません。賃金の計算では労働基準法やそれに関連する協約や協定、これにも労働組合法という法律が存在します。

労働としての対価、あるいはそうでない収入も、所得税法に則った計算や処理が必要で、社会保険料控除にしても、その計算には「健康保険法」「厚生年金保険法」「雇用保険法」など様々な法律によって成り立っています。

※東京労働局、賃金関係→http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/yokuaru_goshitsumon/tingin.html
源泉徴収税額→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131023
★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102