0308 所得税111 給与所得16 ストックオプション

ストックオプションは「新株予約権」のことで、ここではその対象者が役員や従業員で、自社の新株予約権を無償で付与された場合です。
自社の株を将来に購入する権利で、割安な条件で権利を付与され、権利行使で実際に自社株を取得したときには、その差額が利益として受け取れるメリットがあります。このような場合、税法上でその利益が給与に該当するか否かの問題です。

ストックオプションとよく間違われるもので「社員持株制度」「従業員持株制度」がありますが、これについてはこちら★コラム?→http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130810/1376155254
ストックオプションは税制上の要件を満たした「税制適格ストックオプション」と、要件を満たさない「税制非適格ストックオプション」とで、その課税関係が変わってきます。

この税制適格ストップオプションの要件では、多くの要件がありますが、大分すると「発行内容(無償発行、付与契約時は時価以上、譲渡禁止など他)」、「取得者(付与対象者)」、「権利行使(上限、発行会社提出書類など)」についての要件があります。尚、権利行使の期間は付与決議の日以後2年以上10年以内とされています。税制適格ストックオプション以外は非適格になります。

まず、税制適格ストックオプションでは権利を付与され、権利行使をした場合に生じる差益は給与として課税されません。その後、取得した株式を売却した時に得るキャピタルゲインが譲渡所得として課税されます。

例えば、権利を付与され、権利行使額が1,000円で株価が1,500円になった時に権利行使をして自社株を取得した場合、一株当たりの差益500円が収入となりますが、この時は株式の取得であって実際に現金による収入はありません。その後、自社の株価が2,000円に上昇したとき売却すれば更に500円の収入があり、この時には売却なので現金による収入を手にします。

税制適格ストックオプションでは、売却による収入時に譲渡所得として課税され、「譲渡価額−権利行使額(2,000円−1,000円=1,000円)」の差額が課税対象とされます。

税制非適格ストックオプションでは、権利行使時の差額収入を給与所得として課税対象とし、その後株式を売却したときには譲渡所得として課税されます。

先ほどの例でいけば、「権利行使時価−権利行使額」、一株当たり1,500円−1,000円=500円が会社から従業員への経済的利益に該当し、給与所得として課税対象となります。その後、2,000円で売却した時の差益「譲渡価額−権利行使時価」にあたる2,000円−1,500円=500円が譲渡所得として課税されることになります。

経済産業省ストックオプション税制のご案内→http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/stock_option/
国税庁、従業員等に付与していたストックオプション(取得条項付新株予約権)を有償取得する場合の課税関係について→
http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/shotoku/130222_2/index.htm
国税庁ストックオプション契約の内容を税制非適格から税制適格に変更した場合→http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/28.htm
★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102