0259 所得税65 事業所得35 リース取引

リース取引は、設備や機械等の調達方法の一つとして現在では一般的な手法となっています。考え方は固定資産の貸出または利用なのですが、実態は売り買いとほとんど変わらないケースが多いと言えます。

リース取引の内容は、リース資産の所有者である貸手(レッサー)が、借手(レッシー)に対して、両者の合意に基づいた物件の契約期間において、使用収益する権利を与え、その対価として借手が貸手にリース料を支払う形態です。
リース契約には、大きく分けると「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つがあります。

ファイナンス・リース
ファイナンス・リースはリースの契約期間満了までは原則、解約ができない、あるいは解約が可能である場合でも、満了までの残期間相当額を損害金として支払う約束になっていて、事実上解約不能の取引形態です。また、借手はそのリース物件を使用して得られる経済的利益のほぼ全てを享受でき、その取得と使用から生じるコストとリスクのほぼ全てを負担することになります。
「解約できない」「所有と同等の経済的利益の享受」「物件使用に係るコスト負担」の3つが大きな条件です。

● オペレーティング・リース
ファイナンス・リース取引以外のリース取引のことを言います。

上記の条件だけでは、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分を判定することができないので、更に以下の基準によって判定しています。

イ): リース物件の所有権が借手に移転する。
所有権移転ファイナンス・リースで、実質的にはその物件を購入したのと同等の扱いで、会計上も「売買取引」に準じた処理で、リース資産は自己所有の固定資産と同等の扱いになり、減価償却資産として法定耐用年数によって償却期間が決まり、償却します。

ロ): リース物件の所有権が借手に移転しない。
所有権移転外ファイナンス・リースと言い、この場合は支払うリース料の総額から割引現在価値を算出した価額が、リース物件の購入価額の約90%以上であること。または、リース契約に基づく契約期間が、その物件の耐用年数の約75%以上であること。このどちらかに該当すればファイナンス・リースにあたります。
この所有権移転外ファイナンス・リースも原則、「売買取引」に準じた会計処理で、リース資産の償却については、その契約期間が償却期間にあたり、残存価額0円まで償却します。

ハ): 上記(イ)か(ロ)を満たさない場合がオペレーティング・リースに該当します。
会計上の処理は、賃貸借取引に準じた処理となるため通常は当期分を費用処理します。

ファイナンス・リースの貸手はの利益は利息に当たります。従ってファイナンス・リースの会計処理については、リース資産計とリース債務を貸借対照表に計上し、支払リース料は元本返済とその利息分を別けて処理することになります。

また、ファイナンス・リースの中で「セール・アンド・リースバック」と言う取引があります。これは、例えば、ある事業で引越業を営んでいてトラック5台を所有しているとします。このトラック5台をリース会社がいったん買い取って再度その事業会社にリース取引として契約します。このとき形式上はトラック5台を買取りリース会社の所有であったとしても、実際には同じ事業会社が同じトラックを使用していて何ら所有権の移転はありません。リース会社が事業会社に行ったことは、トラック5台の価値を査定して金銭を貸付たことと同等な取引と言えます。ファイナンス・リースとはこのように、金銭貸付に近い契約で、元本がリース物件にすり替わったことと同様な形態と言えます。

尚、上記の内容は企業会計を主とした内容ですが、リース物件そのものが少額であったり、中企業会計指針ではファイナンス・リースであっても賃貸借取引に準じた会計処理が可能とされています。
上記は平成20年4月以後のリース取引を参考にしています。

国税庁、平成20年4月以後に契約締結されたリース取引についての取扱いの概要→
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5702.htm
国税庁、平成20年3月末日以前に契約締結されたリース取引についての取扱いの概要→
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5700.htm
国税庁、所有権移転外リース取引→http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5704.htm
三井住友ファイナンス&リース、リースの会計と税務→http://www.smfl.co.jp/first/lease/knowledge06.html

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102

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