0258 所得税64 事業所得34 ソフトウェア会計
ソフトウェアは、その制作する目的によって会計処理が異なってきます。大きくは「研究開発費」と「無形固定資産」のどちらかに該当します。
(1)研究開発を目的とする場合。
この場合は、研究開発費に相当しますので、当期分を期末に一括費用として処理します。
(2)受注制作する場合。
受注制作の会計処理は一般的には「請負工事の会計処理」に準ずるとなっています。請負工事では、完成してクライアントに引渡しが完了すると売上計上することになっています(工事完成基準)。完成、引渡しがなく制作途中で期末がきた場合には「仕掛品」として資産計上することになります。
また、受注制作であってもその目的が研究開発に相当する場合は「研究開発費」として費用処理します。
(3)市場販売する場合。
一般ユーザー向けに販売するソフトウェアでは、その制作段階によって会計処理がことなってきます。
イ): まず、最初の基となるマスターを制作するまでは「研究開発費」に相当し、期末に全額を費用処理することになります。
ロ): 製品マスター完成以降に、著しいとは言えない程度の改良や機能強化による制作活動は「無形固定資産」として資産計上します。
ハ): 製品マスター完成以降に、著しい改良や機能強化による制作活動の費用は「研究開発費」に該当するため期末に全額費用処理することになります。
(4) 自社で利用する場合。
この場合は、そのソフトウェアを利用することによって将来的に利益が発生する、もしくは経費が必ず削減できると言うことが確実に見込める場合は「無形固定資産」として計上し、これらが不確実である場合には期末に費用処理することになります。
(5)その他の費用。
データコンバート(データの形式変換)やトレーニング費用は、通常の費用と同様に発生した年度の期末に費用処理します。
ソフトウェアに似たもので「コンテンツ」がありますが、区分けされ定義づけされています。
ソフトウェアは「コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム、およびシステム仕様書やフローチャート等の関連文書」となっており、コンテンツとは「ソフトウェアの処理対象となる情報で、データベースソフトウェアや画像・音楽ソフトウェアが処理対象とするデータや、画像・音楽データなどを含む」とされています。
また、これらが混同、一体化していて明確に区分できない場合は、その「主要な性格」はどちらにあるのかで判定します。
上記は企業会計、言わば法人企業向けの会計規則に基づく処理で、税務上とは少し異なってきます。企業会計ではソフトウェアの会計処理に関わる認識は、制作活動時に発生する費用に対して将来に生ずるであろう利益の見込み、つまりリスクの大小によって区分されていますが、税務上はソフトウェアの使用目的によって認識し、区分しています。
イ): 複写して販売する場合の原本は無形固定資産で計上し、償却期間は3年。
ロ): 開発研究用の場合も同じく無形固定資産で計上し、償却期間は3年。
ハ): 上記イ、ロ以外の場合は無形固定資産で計上し、償却期間は5年。
と、なっています。
※国税庁、ソフトウェアの取得価額と耐用年数→http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5461.htm
※コンピュータソフトウェア著作権協会、ソフトウェア税務に関する法人税基本通達→
http://www2.accsjp.or.jp/activities/2000/news02.php
※柴田尚之税理士事務所、ソフトウェア→http://www.shibata-office.jp/article/13791687.html
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