0262 所得税67 事業所得37 圧縮記帳

圧縮記帳?は仕事で経理事務や、資格勉強で簿記や会計を学んでいる方は別として、一般的にはあまり聞きなれない用語ではないでしょうか。
企業が固定資産を購入する際に、国の政策上において助成金等が出る場合があります。

例えば、国が奨励する研究で、その研究を行うために設備を1,000万円で購入するとします。条件を満たして助成が認められ設備購入の際に500万円の補助金が交付された場合、500万円をそのまま収入と同様に会計処理をすると、決算時には法人税、あるいは所得税のように収益による課税が発生します。

助成金の多くは徴収した税金によるものなので、政策上の目的に適った使われ方が必要とされます。従って、その助成金を他の目的に使用できたり、一部の資金が社外に流出するような会計処理が容認されれば、助成金の成果は期待できなくなります。

仮に法人税等が40%の課税があり、収益と同様の扱いをして500万円の補助金が処理されると、実質的な金額は300万円に低下します。このようなことが起こらないよう、別の会計処理が求められます。

設備の取得価額が1,000万円で500万円の補助金を適用し、会計処理をする場合、設備の取得価額そのものを500万円として、補助金の500万円はそのまま費用処理(圧縮損)をして、課税されないようにします。このような会計処理の手法を「圧縮記帳」と言います。

この圧縮記帳の処理によって、補助金は有効にその役割を果たすわけですが、補助金を利用する側の企業にとっては、補助金全額「丸儲け」とはいきません。

設備の資産計上で本来1,000万円あったものが、圧縮記帳によって500万円の資産計上となります。これによって毎期の減価償却費の費用計上も半分に減少します。費用が少なくなることは、その分の利益が増大し課税される金額も増えることになります。つまり、圧縮記帳をすると支払う税金が多くなるわけです。このことから圧縮記帳は「税金の繰延べ」を意味しています。

圧縮記帳の対象となる取引は、補助金等の他に「収用(公共用地のために国や行政が土地や建物を買取る)」、「土地、建物等の固定資産の交換」「保険金」などがあります。

会計処理の方法も前述したのは、取得価額を直接減額しましたが、取得価額を減額せず圧縮損を引当金に繰入れる方法や、確定決算で利益処分として積立てる方法があります。

尚、圧縮記帳は「租税特別措置法」に規定されいるものと「法人税法」で規定されているものがあります。これらの規定や会計処理にあたっては、ケースによって注意が必要な細かい条件等がありますので、税務署や税理士などの専門家にご相談ください。
国税庁、措置法上の圧縮記帳http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/houji319.htm
国税庁法人税法上の圧縮記帳http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/houji318.htm

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