0263 所得税68 事業所得38 資金繰り

会計上、つまり帳簿上で売上や利益が上がっていても、手元にある現金資金については帳簿と一致しません。これは当然のことなのですが帳簿上の売上には売掛金や手形等の、未だ現金収入がない数字のみの売上が含まれています。また支払い等のも買掛金等の未だ現金支出がないものも計上されています。

例えば、100万円の売上を計上しても、3ヶ月先に決済される受取手形であったなら、その期間に実際の収入はありません。しかし、3ヶ月の間には仕入れや人件費、家賃や高熱費等の費用の支払いは発生します。この間に他の現金収入や余剰資金等の運転資金がなければ、金融機関などからの継なぎ融資が必要となってきます。

このように、帳簿上の収支と現金収支は一致しないため、回転資金をショートしないように管理する必要が出てきます。これを資金繰り表等の作成によって、より計画的な資金管理を行い、営業活動を阻害することなく良好な活動を維持できるように努めます。

現金収支は企業で言うキャッシュ・フローにあたりますが、大きな企業のキャッシュ・フローは「営業キャッシュ・フロー」本業での現金収支、「投資キャッシュ・フロー」設備投資等の固定資産の取得や売却、有価証券等の売買い等、「財務キャッシュ・フロー」借入金、社債、株式等の資金調達、と区分されて計算されますが、小さな事業体であればこのような区分は必要ありません。

事業規模の大小に関わらず、資金繰りを有利に運ぶことは、売掛金受取手形をできるだけ減らして現金売上を増やし、支払いは売掛金や支配手形を使うことで先延ばしにするのが一番堅い方法です。あるいは現金回収の期間を短くして、支払いをできるだけ長期に延ばすことが有利な条件と言えます。

一般的に、運転資金の必要額の計算は「売上債権+棚卸資産仕入債務」とされています。また、資金繰表では月毎に以下の収支を記録します。
収入 = 売掛金の回収、手形の取立て、手形の割引、借入金。
支出 = 買掛金の支払い、支払手形の決済、人件費、経費、設備等の支払、借入金の返済。

上記の「収入−支出」がプラスであれば、回転資金を維持、留保できますが、マイナスの場合は不足が生じ、借入の手立てや営業や売上金の回収について改善が必要となってきます。

しかし、上記の一般的な資金繰表の作成は一定の資金規模ならともかく、小さな事業体あるいは小額資金の事業では大雑把すぎます。運転資金の必要額にしても上記の式では営業上のみで、家賃等の一般管理費までは運転資金の中に入っていません。従って、小規模の小額資金の事業体の資金繰表を作成する場合、もう少し細かい記録の設定が必要となります。
収支 = 現金預金残高、現金売上、売掛金回収、受取手形決済、その他収入、事業主借、借入金。
支出 = 現金支払、買掛金支払、支払手形決済、その他支払(家賃、高熱費、通信費、交通費、人件費、税金、社会保険料、その他)、事業主貸、借入金返済。

上記の現金収支を毎日記録し、記録してゆく上で、手形決済や回収による現金化、家賃や高熱費等の固定費では、その期日について予定日が判りますから、資金繰りについて予測が建てやすく、その対処には十分な期間確保ができるようになります。

回転資金に充分な余裕があれば、資金繰りの管理より余剰資金の使い方、有効な事業投資を考え、更なる発展のチャンスと捉えるべきです。

運転資金の必要額や資金繰りを考える場合、自己の業種の商慣習も考慮が必要です。小売店の経営では現金収入も比較的容易ですが、建設業や製造業等では手形の支払が一般的で、最近では手形は激減したと言われていますが、他の業種に比べると多く、長いものでは1年近い先の決済もあり、このような長期である場合は運転資金が豊富に必要となってきます。

また、事業を立ち上げたとき、これも業種によりますが、委託販売等の場合、売上から現金収入までかなり期間があります。慎重に資金繰りの計画が必要と思われます。

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