0261 所得税66 事業所得36 ファイナンス・リース取引の仕組み

事業を経営していると長期的に使用する機械や設備、事務機器等を購入する必要が出てきます。この時、その必要とする物件を手にする方法は3つあります。一つは自己資金で購入、もう一つは銀行やローン会社等の金融機関から資金を借りる、もしくは建て替えて購入、そして最後がリース契約です。

ファイナンス・リースと似ている形態がローンでの購入で、ローンの場合は金融機関が直接、購入者に金銭消費貸借の契約を行い、購入者は金融機関から借りた資金で必要な物件を手にして販売店等に支払を済ませます。この場合、事業主(ユーザー)は販売店サプライヤー)と売買行為もしくは売買契約をして、同時に事業主は金融機関と金銭消費貸借の契約を締結することになります。

これに対してリース(ファイナンス・リース)契約の場合、事業主はリース会社とリース契約を締結しますが、対象とされる物件はあくまでもリース会社から借受けたもので、所有権はリース会社にあります。

当初、事業主はリース会社に対して必要な物件の選定を行うのではなく、サプライヤー(販売店)から物件の選定を行い、サプライヤーはその事業場に選定された物件を納品します。このときリース会社はサプライヤーと事業主とで行われる選定や納品に対して関与しません。

リース会社は事業主とリース契約を締結した後にサプライヤーと売買契約を締結します。ここがローンと異なる箇所で、事業主とサプライヤーは直接、売買いの関係にありません。あくまで選定と納品だけで、サプライヤーの売った先はリース会社で、事業主は契約上リース会社から選定した物件を借受けている状態です。なので通常はリース会社との契約で、物件の納品が済むと、リース会社所定の「借受証(物件受領証)」を交付することになっています。

サプライヤーと事業主のやりとりにリース会社が関与しない理由は、納品した物件に不具合や欠陥があった場合、瑕疵責任を負わないようにしているからで、仮に選定した物件が不良であった場合、事業主はリース会社に責任を問えず、サプライヤーに対して責任追求することになります。また、リース契約を締結した後に、何らかの理由でサプライヤーが物件を納品できなかった場合でも、リース会社に責任は問えない契約内容になっています。

リース契約の流れを簡単に記すと以下のようになります。

(1) 最初はユーザーが必要な物件を選定します。

(2) ユーザーとサプライヤーとの間で、物件の種類や数量、性能や価格等の取引条件において交渉、合意に達します。

(3) ユーザーはリース会社に対し、リース契約を申込みます。あるいはサプライヤーを通じてリース会社に申込む場合も多いとされています。

(4) リース会社は、申込んだユーザーに対して信用力の審査を行います。

(5) 審査で問題がなければリース会社はユーザーとリース契約を締結します。

(6) リース会社は、ユーザーとの契約締結後にサプライヤーとの売買契約を行います。

(7) サプライヤーからユーザーへ選定された物件の納品が行われると、ユーザーはリース会社に借受証を交付します。

(8) ユーザーからの借受証交付に基づいて、リース会社はサプライヤーとの契約通り物件の支払いを履行します。

(9) 以降、ユーザーはリース契約に基づいたリース料を支払っていきます。

リース会社がユーザーとのリース契約締結後に、サプライヤーと契約を交わすことは、先にサプライヤーとの売買契約を締結して、ユーザーとの契約が不成立であった場合に在庫を抱えるリスクを回避するためです。

リース契約では、リース物件はリース会社の所有で、ユーザーはその物件を賃貸している状態です。しかし、リース物件に対する様々な不測を直接リース会社に問うことはできず、ユーザーは物件から生じた諸問題をサプライヤーに責任追求することになります。

こうしてリース会社は、リース物件から生じるリスクについては一切の責任を負わないよう契約を定め、契約解除不可もしくは契約解除に応じる場合には物件相当額のペナルティを課しています。リース物件の役割はリース会社にとって貸付金の「元本」にあたり、リース料はその元本に利息を加算した金額を請求しているのと同等な内容と言えます。
リースは「物融」と呼ばれる融資の類と解釈されています。法的なことより会計上、税務上では金融機関から借入をして購入するより、リースとして処理した方が有利な点があります。

まず、金融機関から借入をする場合、殆どは「担保」の差出しが必要になりますが、リース契約の場合は通常、担保の差出しは不要とされています。

それから、借入金の返済に関して、税務上損金扱い、つまり経費として費用処理できません。費用処理できるのは利息部分のみですが、リースの場合は費用として損金算入が可能です。

リースは前々回のブログで紹介した「ファイナンス・リース」「オペレーティング・リース」の他、リース物件の保守等をリース会社が行う「メンテナンス・リース」や、リース物件を資産譲渡できる内容の契約もあります。
★当ブログ0259、リース取引→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130405
オリックス、リース・割賦・支払委託→http://www.orix.co.jp/grp/business/finance/lease.html

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102

図解入門よくわかる最新BIMの基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)

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★上記の本の感想は当ブログ0260で読めます→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130406