0244 所得税51 事業所得21 減価償却費

この「減価償却費」という科目は、事業等において長期的に使用する資産で、その資産が劣化や消耗によって起こる資産価値の減少を、会計年度毎に合理的見積額によって按分する手法です。資金面からみると費用を数年に渡って分散する役割もあり、これは資産を1年間使用したときの期間的な費用計上で、製造業等で原価計算を正確に行う場合「期間原価」として配賦し、より精度の高い原価計算を可能します。基になる考え方は、資産を適正に評価するためのルールと言えます。
これは企業会計でも個人事業であっても、会計を行う上で必ず出てくるもので、考え方は幅広く利用されている面もありますが、会計独特のルールと言えます。

減価償却費は現金収支とは、ほとんど関係なく構成され、会計ルールに則って処理されます。従って全く初めて会計を勉強される方には、些か不可解に感じるかもしれませんが、減価償却費として費用計上しても実際には資金の流出はなく、計上した額だけ内部留保されることになります。購入した支払い等は、会計上で別の科目で処理されることになります。

また、減価償却資産の範囲としては「有形減価償却資産」「無形減価償却資産」「生物」と3種類に分けられ、かつ、原則は取得価格が10万円以上で、使用可能期間が1年以上であるものが対象になる資産にあたります。

有形減価償却資産では、建物や設備等のほか、車輌や船舶、工具器具、観賞用や興行用の動物や植物も該当します。

無形減価償却資産では、特許権や商標権、意匠権、ソフトウェアで、漁業権や営業権のほか、公共性の高い施設利用権も一部、範囲とされています。
償却資産にあたる生物とは、牛、馬、豚、羊等と、りんごやぶどうといった果樹、茶樹なども該当します。

「非減価償却資産」の代表的なものは土地と電話加入権ですが、貴金属も条件により非減価として扱われます。それから、減価償却資産であっても、それが棚卸資産や繰延資産として処理する場合は減価償却資産として扱いません。建設中の建物や製作途中の資産も、減価償却資産としては該当しません。

上記の条件は、もちろん事業上で使用または消費する資産に限られます。そして、その原則を踏まえた上で、次のような場合「一括償却資産」として処理することができます。

不動産所得、山林所得、事業所得または雑所得を獲得するために利用した資産の取得原価が20万円未満であるもの。ただし、(1)一定の条件を備えたリース取引と(2)小額減価償却資産は除外されます。

(1) のリース条件とはオペレーテイング・リースのことで、リース契約の法的な賃貸借取引ではなく、会計上の賃貸借取引を指します。
(2) の小額減価償却資産は、租税特別措置法28で一定の中小企業者に該当する青色申告者が、平成18年〜平成26年3月31日までに購入した10万円以上30万円未満の減価償却資産の取得価格の全額を費用計上できる措置です。
一括償却資産は、取得し、使用した年から3年間に3分の1づつ費用計上できます。
国税庁、小額の減価償却資産及び一括償却資産→http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/08/12.htm

 事業所得で計算する減価償却費は、償却対象となる固定資産の費用按分する年数が「耐用年数表」によって定められています。耐用年数は、その資産の種類や性質によって細かく分けられています。

耐用年数によって、対象となる資産の按分年数は判りますが、按分する計算は大きく2つあります。一つは「定額法」で、毎年同額の費用計上してゆく方法。もう一つは「定率法」で、一定率を乗じて算出し、その残額にまた定率を乗じて・・・・と耐用年数まで繰り返します。
確定申告での減価償却費の計算は通常「定額法」ですが、合理的な理由で「定率法」を選択する場合には、予め手続きが必要でなります。

国税庁減価償却のあらまし→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2100.htm
国税庁減価償却における定額法と定率法→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2106.htm
国税庁所得税減価償却資産の償却方法届出手続→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/18.htm
国税庁減価償却資産の耐用年数表→https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/30930/faq/30975/faq_31004.php

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