0277 所得税81 譲渡所得11 登記事項証明書、表題部

現在の不動産登記は電磁的記録、つまりコンピュータによって記録、管理されています。昔の登記簿閲覧にあたる記録は「登記事項要約書」ですが、現在では一般的に「登記事項証明書」と呼ばれるものを請求によって管轄の法務局が交付します。

交付については通常、管轄の法務局窓口ですが、郵送やオンラインでも可能となっています。ただしオンライン請求には一部制限があり、法務省オンライン申請システムに利用者としての登録が必要です。

登記事項証明書は「全部事項証明書」と「現在事項証明書」や、そのほか目的部分別に分かれますが、ここでは一般的な全部事項証明書について紹介します。
登記記録は1個の土地ごと、1個の建物ごとに記録されます。1個の土地は「一筆の土地」と称されます。「筆」は土地の単位で、土地を分割すれば「分筆」、複数の土地を結合した場合は「合筆」といいます。

不動産の全部事項証明書の登記記録は土地と建物に別けてあり、記載事項では「表題部」と「権利部」とに分かれ、権利部は更に「甲区」「乙区」と分かれています。
(1)表題部
土地では「所在欄」「地番欄」「目地欄」「地積欄」「その他」とあります。
所在欄 : 言わば住所です。

地番欄 : 隣接した土地と区別できるように番号で割振りをしています。

目地欄 : 宅地や工場のように、その土地の用途を示しています。登記される目地は全部で21種類あります。

地積欄 : 土地の面積を示します。ただし、ここに記録された面積が絶対的に正確とは言えないため、実際に測量した方が良い、とされています。

その他 : 登記の理由や日付を記載しています。
建物では「所在欄」「家屋番号欄」「種類欄」「構造欄」「床面積欄」「その他」

所在欄 : 建物の場合、土地の「所在欄+地番欄」にあたり、住所と土地の地番までが所在欄となります。大きな建物で地番が複数に渡り、その上に建物がある場合には、土地の面積が大きい順に記載されます。

家屋番号欄 : 隣接する建物と区別するための番号です。同じ土地の上に複数の建物がある場合には「枝番」と呼ばれ、更に番号を割振ります。

種類欄 : 建物が何に利用されているかを記載しています。事務所であったり店舗であったり、その形態の違い、規模の違い等で細かく分類されています。

構造欄 : 建物の主要材料、例えば木造とか鉄筋とか。それから屋根の種類、建物の階数が記載されています。

床面積欄 : 土地の場合は平面なので面積は1つですが、建物は何階建てとなっていることが多いので、各階の床面積を記載しています。

その他 : これは土地と同様に登記の理由、登記の日付等を記録しています。

分譲マンションの場合は、上記の登記記録とは少し異なってきます。それはマンション全体での資産、マンションの玄関や庭園、廊下やエレベータ等の「共有部分」と個人資産である「専有部分」とに分かれて登記の記載があります。
それからマンションで問題となるのが「土地の権利」と「建物の権利」の分離です。つまり別々に売却できるか?について、現在では原則、分離して譲渡することはできません。

以前はマンションの専有部分と、土地は専有面積に比例して「持分」が権利としてあり、別々の譲渡が可能とされていましたが、問題も多く昭和58年の区分所有法の改正によって分離譲渡は不可となりました。

現在、所有するマンションを売却するときは専有部分と土地の利用権も一緒に譲渡することになりますが、登記記録では「敷地権」と表記されるものが表題部の横に記載されています。敷地権とは専有部分に係る土地の権利のことで、この記載によってマンションの土地と建物の権利を一緒に譲渡できるようになっています。このことを「一体化」と呼ぶそうです。

しかし、注意が必要なことはマンションの場合、原則として土地の権利、建物の権利の分離売却を禁止していますが、マンションの規約によっては分離売却が可能とされ、登記記録についても「敷地権」の記載は強制的ではないので、この辺りのことが疑わしい場合には更に細かい調査が必要です。
 登記事項証明書の「権利部」については次回のブログで!

※自分で登記.com→http://www.jibundetouki.com/kisochishiki/

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。

★上記の本の感想は当ブログ270で読めます→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130510