0284 所得税87 譲渡所得17 担保物権1 質権など

担保は、債権者が債務者に対して弁済をより確実に回収するために、弁済能力やその価値のあるものを一定の支配によって利用するものです。よくローンを組むときに「保証人をつけて下さい」なんて言われますが、これは人的担保にあたります。物権の場合は弁済価値のある換金性の高い「物」になります。この物的担保によって弁済の優先権を得る仕組みと言えます。

極端な言い方をすれば「アンタ金返さないと、アンタの家売っちゃうよ」、これが担保物権です。

担保物権は、法律が規定する要件を満たせば権利が生じる「法定担保物権」と、契約当事者の合意により権利が生じる「約定担保物権」とがあります。
法定担保物権は更に「先取特権」「留置権」があり、約定担保物権では「質権」「抵当権」「根抵当権」「仮登記担保権」「譲渡担保権」などがあります。

(1)先取特権民法303条〜341条)
債権者が、債務者の財産から優先的に弁済を受ける権利のことです。先取特権には一般、動産、不動産があります。
一般的に債権は、債務者が破産等で財産を処分して弁済に充てる場合には債権額に応じて分配されます。これを法的な効力や手続きによって優先的に弁済を受ける、言わば優先順位の法的な獲得にあたります。
一般の先取特権での優先順位は「国税」「地方税」「社会保険料」「共益の費用」「雇用関係の債権(給料等)」「葬儀の費用」「日用品の供給」となっています。
先取特権は弁済の優先権の意味であるので、質権や抵当権も先取特権と言えます。

(2)留置権民法295条〜302条)
弁済が完了するまで対象物を返さない(留置する)ことで、例えば、電器店を経営していて、数年前に購入したお客さんが電気掃除機を持ってきて修理依頼をされたとします。保証期限が過ぎているので修理代金を提示の上、修理を引受けました。ところが、修理が完了してお客さんが取りに来ると、修理代金に納得がいかず支払いを拒みます。このとき電器店側は修理代金を全額支払わない限り、修理品として預かっている電気掃除機の引渡しを拒否することができます。このような権利が「留置権」に該当します。

(3)質権(民法362条〜366条)
質権についても、債権の弁済における優先が目的とされています。債務者が所有する物(換金性の高い)を預かり(物を支配下におく)、弁済が滞った場合にはその「預かった物」を換金して弁済に充て、債権回収します。
例えば、現金10万を貸した債権者が、債務者から弁済における担保としてダイヤの指輪を預かり、約束の弁済が履行されない場合にそのダイヤの指輪を換金して弁済に充てることになります。この時、法的には「債権者=質権者」「債務者=質権設定者」になります。
質権者は質権設定者から、上記の場合で言えばダイヤの指輪を支配できる状態(所有)になくてはなりません。約束だけ交わして実際には質権設定者がダイヤを持っている状態では質権としての効力はありません。また、質権設定者が質権者にダイヤを渡して、もし支払いができなければこのダイヤのみで勘弁して下さい」ということも質権としては困難です。これでは、債権者は中古のダイヤを購入したに過ぎません。通常はこのダイヤを換金して弁済を受け、それでもまだ不足であれば不足分相当の弁済も受け、過剰であれば払戻すことになります。
質権の場合は、その対象物を預かった形で、物を支配できる状態であることが前提とされています。従って、質権で対象になる物は「動産」であることが殆どですが、土地や建物といった不動産も質権の対象範囲です。しかし、不動産に対して質権としての効力が生じるためには、その土地や建物を占有したり支配したりする必要があります。これではたいへんなので、通常不動産に対しては「抵当権」を登記で設定し、これによって弁済の優先を受けます。この抵当権は、実際に土地や建物を支配状態にすることなく、登記することで目的が為されます。

尚、質権の担保能力として設定できる範囲は「元金」「利息」「違約金」「取立て費用」「保存費用」「損害賠償費用」となっています。

抵当権については次回のブログで!

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