0286 所得税89 譲渡所得19 区分所有権

土地や建物での「共有」とは、同一の物が数人に分割され帰属している状態です。この時、所有権は互に制限し合うことになるので、通常は各共有者が持分として割当てられています。この持分の割合が定められていない場合には「均等」」と推定されます。

マンション等の場合は、そのマンションが有する敷地の上に建物があり、その中に住居や店舗、事務所などがあります。このような建物を区分所有建物と言い、共有部分ではない個人の住居にあたる部分の権利を「区分所有権」と言います。適用法は「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」です。

この区分所有建物では、区分所有権の対象となる建物の部分を「専有部分」と言い、分譲マンションでは個人の室が該当します。それ以外の部分が「共有部分」となりますが、共有部分には「法定共有部分」と「規約共有部分」に分かれます。

法定共有部分とはマンションの玄関や廊下、階段等とエレベータ、あるいは配管や配線等の構造上や機能上で不可欠な部分です。
これに対し、規約共有部分では集会所や管理事務所等部分で、言わばマンション側が任意で定めたスペースがこれに該当します。

法定共有部分は、そこに住む人たちが通常、必要不可欠とされる部分なので登記はされませんが、規約共有部分に関しては登記が必要です。また分譲マンションのように、物件の販売時に既に一定の規約が定められている場合があります。これは分譲する業者が規約を作成し規定するのですが、この場合には公正証書による手続きが必要とされています。

マンション等の区分所有者には、この共有部分に対する持分が割当てられています。その比率は通常、専有部分の床面積に応じた持分となります。
この区分所有権では、自己が所有する専有部分とそれに応じた共有部分の持分、そして法律上、地上権と賃借権(準共有持分)が認められています。専有部分を所有するすることによってマンション等の敷地内を利用できる権利を「敷地利用権」と言いますが、これら共有部分の持分と敷地利用権は、譲渡する場合に個別に分離して権利を譲渡することはできず、専有部分を譲渡すれば付随して譲渡することになります。ただし、規約に別段の規定がある場合には、規約が優先されます。

区分所有建物では、共有部分に関する一定の行為についても制限を設けています。
これは主に「管理行為」と「変更行為」で、管理には保存行為、利用行為、改良行為などがあります。

保存行為とは修理や清掃なので、各自単独で行為が可能ですが、利用行為では、その対象とする場所、条件、あるいは制限等をする場合に区分所有者および議決権の過半数の賛成が必要です。改良行為も利用行為と同様の賛成が必要です。

マンションでは集会等(書面やインターネットでも可能)によって共有部分の扱いを、その重要度に応じ、みんなで決議し決定します。法的にはその決議のカウントは区分所有者で1票、この場合は例えば、同じ区分所有者がマンション内に複数の専有部分を所有していても1票しかありません。室の広さも関係なく逆に複数の人で専有部分を所有していても1票となります。

議決権の場合は専有部分の面積の広さに比例して票を計算します。この場合は端数が出たり、1票の基準をどのようにするのかは管理規約として定めることになります。

共有部分の変更行為などを含め、決議の賛成が4分の3以上を必要とする事項は以下のようなものがあります。
(1) 共有部分の変更(程度によります)
(2) 規約の設定、変更、廃止など。
(3) 管理組合の法人化。
(4) 義務違反者に対する専有部分の使用禁止請求。
(5) 建物価格の半分を超える額が滅失した場合の復旧。

他には、(4)の場合があまりに非道い場合には訴えを起こし競売に掛けたりすることも決議としては4分の3以上の賛成で可能です。

重要事項の決議において区分所有者および議決権の5分の4以上が必要になる事項は建物の建替えのみです。

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