0288 所得税91 譲渡所得21 不動産の譲渡

土地、建物等の不動産譲渡は、総合課税のように他の所得と合算して課税するのではなく、「分離課税」として独立して計算し課税されます。
譲渡所得の計算では「不動産、株式等以外」の譲渡と同じく「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に区分されますが、5年超えの保有期間のカウントが少し異なります。
不動産、株式等以外の短期、長期の区分は取得日から譲渡した日までが5年以下か超えるかで区分されましたが、不動産の場合は1月1日の時点で丸5年を超えなくては長期譲渡所得として扱うことになりません。

例えば今年、平成25年の6月に不動産を売却した場合では、その年の1月1日、平成25年の1月1日の時点で5年超えが要件となるので、平成25年の5年前は平成20年の1月1日にあたるので、つまり平成19年度以前に取得した不動産が長期譲渡所得として扱われます。

不動産の譲渡所得についても大枠の算出式は前回の総合課税と同じです。
譲渡所得 = 「 {譲渡における収入−(取得費+譲渡費用)}−特別控除額 」
短期譲渡所得の場合、課税率は30%+住民税が9%で、長期譲渡所得の場合、課税率は15%+住民税5%となっています。

上記の算出式で問題となるのが不動産の「取得費」と「譲渡費」の費用範囲で、譲渡所得とは保有資産の売却益、つまり「買った金額−売った金額」なので「取得費=買った時の費用」「譲渡費=売った時の費用」となります。

不動産の取得費に該当する費用は、その土地や建物の購入代金、購入時の手数料、設備や改良の費用、それから測量に係る費用や建物の取壊し費用、貸主であれば立退料も含むことができます。ただし、建物に関しては取得費から減価償却費を差引いた費用となります。
★当ブログ0244減価償却費→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130223

また、登録免許税、不動産取得税、特別土地保有税印紙税などの税金もふくまれます。尚、譲渡資産が事業用の資産であった場合の税金は取得費に含むことはできません。

譲渡する資産の取得額が不明な場合や、実際の取得費用が譲渡した価額の5%より下回る場合は「概算取得費」として、譲渡価額の5%を取得費とすることができます。

不動産の譲渡に該当する費用についても売却に係る仲介手数料や印税等の税金、建物の取壊しがあればその費用等で、取得費の範囲とほぼ同じですが、あくまでも売却した側が負担した費用です。

不動産の譲渡には、その取引金額やマイホーム等の必要性等から様々な特例が設けられています。特例については次回に!

国税庁、譲渡所得の計算のしかた(分離課税)→http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3202.htm
国税庁、土地や建物を譲渡したとき→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1440.htm
国税庁、短期譲渡所得の税額の計算→http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3211.htm
国税庁、長期譲渡所得の税額の計算→http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3208.htm
国税庁、取得費用となるもの→http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3252.htm
国税庁、譲渡費用となるもの→http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3255.htm

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