0306 所得税109 給与所得14 使用者が支払う保険料

保険を掛けた時の課税は?となると、かなり抽象的で答えようがありません。
ここでは所得税の「給与所得」として課税対象になるのか否かを問うもので、会社が役員や従業員のために支払った保険料が、経済的利益に相当し給与として該当する、あるいはその保険金を受取った場合、役員や従業員の所得が給与に相当し課税されるか?なので、その課税関係は保険料を支払う「会社(使用者)」、保険の対象となる「被保険者(役員、使用人)」、保険金を受取る「受取人」の関係と、その保険の種類や性質で、給与としての課税判定が異なってきます。

尚、ここで言う「保険」とは、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料ではありません。民間の保険会社による生命保険や養老保険、損害保険などのことです。

それから従業員は「使用人」で、会社や事業主は「使用者」で、役員とは社長、専務、常務、そのほかの取締役、執行役、会計参与、監査役、使用人兼役員のような「みなし役員」も該当します。

従業員を対象にして、会社側で保険料を支払う場合には原則、その対象者を一律同様の扱いが前提とされますが、年齢や勤続年数を考慮した合理的な格差においては「特定の者」としては扱われません。従業員が給与以外で会社から得る経済的利益が、他の従業員と異なる扱い、つまり「特定の者」だけが会社から経済的利益を得る行為は、金額の大小を問わず、すべて給与として扱われる場合が殆どです。また、役員の場合には「特定の者」として扱われる場合が多いので注意が必要です。

使用者が使用人に対して支払う保険料が月額300円以下のであるときは給与に該当しません。ただし、役員または特定の使用人である場合は給与扱いとなり、課税対象とされます。

保険の種類、その契約内容によっては以下のような扱いとなります。
(1)定期保険
定期保険にも様々な種類がありますが、いわゆる掛捨て保険で生命保険の死亡保険金のことです。
使用人が被保険者(加入者)で死亡保険金の受取人が使用人の遺族の場合、使用者が支払う保険料が給与に該当し、課税されることはありません。特約があった場合も同様に課税はありません。ただし、役員または特定の使用人が被保険者となる場合には給与扱いとなります。
<イ>
保険料の支払 : 会社、事業主(使用者)
被保険者   : 加入者(従業員)
受取人    : 使用人の遺族(従業員の遺族) 
<イ>のような場合の保険料は給与に該当せず、課税対象ではありません。


(2)養老保険
この保険は、被保険者が亡くなった時には死亡保険金の受取りがあり、保険期間の満期時に生存していた場合には、死亡保険金と同額の満期保険金を受取ることができます。貯蓄性の高い保険です。
使用人を被保険者としたとき、死亡保険金の受取人が使用人の遺族、または生存して満期保険金の受取りを使用人とした場合、どちらになっても使用者が支払う保険料は、使用人の給与に該当し、課税対象となります。
ただし、死亡保険金の受取人を使用者の遺族として、生存保険金の受取人を使用者としたとき、その保険料は給与に該当せず、課税されません。
また、上記の条件であっても、役員や特定の使用人を被保険者とした時には、その半分が給与として扱われ課税対象となります。
養老保険の特約については通常、給与には該当しませんが、役員または特定の使用人を受取人としたときには給与となります。

<ロ>
保険料の支払      :  会社、事業主(使用者)
被保険者        :  加入者(従業員)
死亡したときの受取人  :  使用人の遺族(従業員の遺族)
生存しているときの受取人:  被保険者(従業員)
<ロ>の場合の保険料は給与に該当し、課税対象となります。

<ハ>
保険料の支払      :  会社、事業主(使用者)
被保険者        :  加入者(従業員)
死亡したときの受取人  :  使用人の遺族(従業員の遺族)
生存しているときの受取人:  使用者(会社、事業主)
<ハ>の場合の保険料は給与に該当せず、課税対象ではありません。


(3)定期付養老保険
これは上記の(1)(2)を組合せた保険内容です。つまり、死亡保険に関しては定期保険で、積立金に関しては養老保険として設計されています。

この保険の場合は、保険料が定期と養老との区分がない保険料であれば、(2)の養老保険の課税条件と同じです。保険料が定期と養老の二つに区分されている場合は、上記(1)の定期保険、上記(2)の養老保険、それぞれの条件と同様です。


★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819国税庁、給与に係る経済的利益http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm
★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102

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