0313 所得税116 給与所得21 労働時間に関する規定

企業や事業主は労働者に対して、自由に無制限に労働時間や休憩、休日を設定できるわけではありません。労働基準法では「1日8時間」「1週間で40時間」と定められています。
また、休憩に関しては6時間以内の労働であれば「休憩なし」、6時間を超えて8時間以内であれば「45分」、8時間を超える場合には「1時間以上」の休憩を与えなければなりません。

この「労働時間」というのは「所定労働時間」のことで、企業や事業場で管理監督者の指揮命令下にあり、事実上の拘束を受ける時間にあたります。休憩時間は原則、その拘束から外れる、従業員が自由に使える時間でなくてはなりませんが、例えば、事業場からの外出するにあたり、従業員が外出許可を取る等の管理上の手続きは「拘束」にあたりません。

会社側が所定労働時間を設定する場合、1日8時間の労働時間プラス休憩45分とした場合、労基法の規定範囲内であるので、違法にはあたりませんが、この場合では週休2日制となり、1分たりとも時間外労働ができません。仮に時間外労働、いわゆる残業を命令する場合には最低15分以上の休憩と労使協定による時間外労働についての合意、締結が必要となります(三六協定)。この三六協定は、締結内容を管轄の労働基準監督署長に届出ないと有効になりません。そして三六協定の締結がなければ、時間外労働や休日労働を行った場合に違法となります。

三六協定において時間外労働が有効になったとしても、その延長時間(いわゆる残業時間)には限度があります。以下は、時間外労働の限度基準となるものです。ただし、( )内の時間は、所定労働時間を1年単位の変形労働時間制で対象期間を3ヶ月以上となる場合です。

1週間:15時間(14時間) 2週間:27時間(25時間) 4週間:43時間(40時間)1ヶ月:45時間(42時間) 2ヶ月:81時間(75時間) 3ヶ月:120時間(110時間)1年 : 360時間(320時間) 

時間外労働の割増賃金は「+25%」、休日労働は「+35%」、深夜労働22時〜翌5時では「+25%」、月間の時間外労働が60時間を超えると、超えた時間分から「+50%」となります。
上記の時間外労働の条件が複数重なった場合は、その条件の分を加算して計算します。尚、時間外労働が月間60時間を超えた場合の割増賃金については、次の条件に該当する中小企業は、その適用を猶予されています。
小売業   : 資本金5,000万円以下、または常時使用する労働者が50人以下。
サービス業 : 資本金5,000万円以下、または常時使用する労働者が100人以下。
卸売業   : 資本金1億円以下、または常時使用する労働者が100人以下。
その他の事業: 資本金3億円以下、または常時使用する労働者が300人以下。

所定労働時間などについては、各事業場での「就業規則」によりますが、一般的な労働時間についての規定は以下のようなものがあります。
(1) 週休二日制
法定労働時間が1日8時間を5日、1週間で40時間となり、法定休日は1週間で1日ですが、労働時間の規定内では8時間を5日が限度となります。
(2) 週休一日制
法定労働時間が1週間で40時間以内なので、1日8時間を限度に週間で合計労働時間を40時間以内にすればOKとなります。
(3) フレックスタイム
1ヶ月以内に清算期間を設け、その労働時間が週平均40時間、特例事業では44時間を超えない範囲でOKとなります。休日については、法定規則を守れば問題ないですが、原則的に労使協定が必要で就業規則に定める必要があります。
(4)1ヶ月単位の変形労働時間
ほぼ上記(3)と同様で、フレックスタイムは労働者側に勤務時間の決定権がありますが、変形労働時間の勤務時間設定は使用者側にあります。
(5)1年単位の変形労働時間
一日の上限は10時間、週平均では40時間ですが限度は52時間、週間48時間を超えることは3週が限度などの様々な制限があります。
これらの変形労働時間は、特定の業種や繁忙期などを柔軟に対応するために、労使協定で時期や勤務時間を設定します。その規定の限度内において使用者が労働時間運用することで、合理的な労働配分を行い時間外労働や休日の適切化を図ります。

★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
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