0314 所得税117 給与所得22 一ヶ月単位の変形労働時間

一ヶ月単位の変形労働時間制は、労使協定の締結、かつ管轄の労働基準監督署長に届出が必要です。

また、就業規則には「対象期間の起算日」「対象期間中の具体的な労働時間」「労働時間の始業と終業時間」などを定めることを要します。就業規則の作成義務のない小規模な事業場でも書面で従業員に通知することが必要とされています。

変形労働時間は業種や時期によって繁忙期や閑散期などの、実際には労働力に波が予測できる場合に、所定労働時間を必要な時期に増加し、その分を余力のある時期に減少して、労働時間を合法的に調整するものです。

この変形労働時間制は、一ヶ月以内の期間で労働時間の調整を行うため、1日単位や1週間単位の労働時間で制限はありませんが、一ヶ月の期間で週平均40時間(ただし、特例事業場では44時間可能)に収める必要があります。これによって会社側(使用者側)は、この変形労働時間を定めることによって時間外労働を合法的に削減することができます。

このような一ヶ月単位の変形労働時間を採用する事業は、月の中で特定の週だけ毎月忙しくなる週があったり、月初め4、5日間だけ仕事量が増えたりするような、月間内で繁忙期がどこかに偏ることが起こる事業場に向いています。

尚、休憩や休日については規定通りで、休憩では労働時間が6時間以下では休憩なし、6時間を超えて8時間以下では45分、8時間を超えると1時間以上が必要です。休日は週1日、もしくは4週間で4日あれば違法となりません。

上記、週間44時間の特例事業場とは「商業(小売業、卸売業など)」「映画、演劇業」「保健衛生業(病院、保育園など)」「接客、娯楽業(旅館、飲食店など)」で、常時雇用者数が9人以下の事業場が該当します。
一ヶ月の変形労働時間制の時間外労働の考え方は次のようになります。

(1)日単位でみると、所定労働時間を超え、かつ法定労働時間の8時間を超えた労働時間が時間外労働として確定します。この場合、変形労働時間制で所定労働時間が1日6時間で2時間の超過勤務をしても、法定労働時間の8時間を超えない限り時間外労働とはなりません。

(2)週でみると、所定労働時間を超え、かつ法定労働時間の40時間を超えた労働時間が時間外労働として確定します。この場合、この週の1日の所定労働時間が6時間で6日勤務であるなら6×6=36時間となりますが、40時間を超えない限り時間外労働としてはカウンされません。

(3)一ヶ月では、変形労働時間における所定労働時間の合計を超える労働時間が時間外労働となり、その合計時間から上記(1)の日単位、(2)の週単位での確定した時間外労働の時間を差引いた残時間が一ヶ月単位での時間外にあたります。

そして(1)と(2)と(3)が一ヶ月単位の変形労働時間制における時間外労働で割増賃金の対象となります。
尚、一ヶ月間の法定労働時間合計は下記のようになります。
31日までの月 : 177.1時間          30日までの月 : 171.4時間
29日までの月 : 165.7時間         28日までの月 : 160時間

※東京労働局、一ヶ月単位の変形労働時間制導入の手引き→
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/jikanka/201221614612.pdf
★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
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