0315 所得税118 給与所得23 フレックスタイム

フレックスタイムとは、勤務時間(就業時間)における出勤時刻(始業時間)、退勤時刻(終業時間)と労働時間の長さそのものを従業員が選択できる制度です。これによって会社側(使用者)も従業員側(使用人)も、仕事に集中する必要な時間帯を合理的に調整することが可能となります。

とは言っても、従業員がまったく自由に出勤時間をコントロールできるわけではありません。一般的にフレックスタイムの時間構成は、対象となる従業員が全員勤務状態、必ず働く時間帯にある「コアタイム」、一日の核となる時間帯が在ります。そして、その前後に対象となる従業員が、自らの裁量で出退勤時刻を決定できる「フレキシブルタイム」と呼ばれる構成になっています。

フレックスタイムも変形労働時間制に該当しますので、労使協定が必要とされますが、他の変形労働時間制のように管轄の労働基準監督署長の届出は必要とされていません。

就業規則にはフレックスタイムにおける規定を、従業員が自由に閲覧できる状態でなくてはなりません。規定を記載する内容は次のような事項があります。
(1) フレックスタイムの対象となる従業員の範囲。
(2) 清算期間ならびに起算日、ただし清算期間は一ヶ月以内に限ります。
(3) 標準となる1日あたりの労働時間。
(4) 清算期間における総労働時間。
(5) コアタイムの設定。
(6) フレキシブルタイムにおける出退勤時刻の制限。

尚、コアタイム、フレキシブルタイムの設定は法的規制によるものではなく「任意」とされています。標準的なフレックスタイムの設定では、
(イ)1日の労働時間は8時間。
(ロ)週合計40時間(特例事業の場合は44時間)
(ハ)一ヶ月の総労働時間は「31日までの月:177.1時間」「30日までの月:171.4時間」「29日までの月:165.7時間」「28日までの月:160時間」です。(特例事業の場合は次の算出式を参考に計算して下さい)

この一ヶ月の総労働時間の計算は次のような式で算出します。
「総労働時間」 = 「1週間の法定労働時間」 × 「清算期間日数÷7」
この計算式はフレックスタイムに限らず、変形労働時間の1ヶ月の総労働時間算出は同様の計算になります。上記の「清算期間日数」の箇所を「変形労働時間日数」に置換えて計算します。

従って、フレックスタイムの時間外労働にあたる部分は上記(イ)(ロ)で規定する時間を超えた部分と、(ハ)の総労働時間を超えた時間の合計から(イ)(ロ)で生じた時間外労働の時間分を差し引いた時間で、時間外労働の合計時間は(イ)+(ロ)+(ハ)となります。

時間外労働のカウントは前回の「一ヶ月単位の変形労働時間制」と考え方は同様です。
所定労働時間を短く定めた場合、一日や週単位での法定労働時間を超えていなければ、時間外労働とはなりません。また、上記(ハ)は一ヶ月の総労働時間を超えた部分、全てを時間外労働とカウントするため、既に一日あたりの時間外労働、週間単位での時間時間外労働としてカウントした分は、(ハ)で重複しているため差し引きます。

尚、1週間の法定労働時間が44時間となる「特例事業」には次のような事業が挙げられます。「商業(小売業、卸売業など)」「映画、演劇業」「保健衛生業(病院、保育園など)」「接客、娯楽業(旅館、飲食店など)」で、常時雇用者数が9人以下の事業場が該当します。

※東京労働局、フレックスタイム制の適正な導入のために→
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/roudou/jikan/pamphlet/3flextime.pdf
★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
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