0316 所得税119 給与所得24 一年単位の変形労働時間制

一年単位の変形労働時間制は、一年を通じて特定の時期だけ繁忙であったり、季節などによって繁忙期、閑散期の格差が激しいような業種や業務内容の事業に適し、繁忙期には従業員の所定労働時間を多く、その分を閑散期に少なく設定することによって、合理的かつ合法的な労働時間の調整ができる制度です。

ただし、この変形労働時間制も労使協定の締結、かつ管轄の労働基準監督署長に届出が必要で、就業規則の記載も同様に必要です。当該変形労働時間の対象期間の設定が1ヶ月以上となる場合には、最初の期間に労働日と労働時間を定め、その後の期間においては労働日数と総労働時間を定めるだけでOKとされています。

労使協定では、この変形労働時間の「対象となる労働者」、その「対象期間」を定めなくてはなりません。対象期間については1ヶ月〜1年以内で、労働日数や出勤日における労働時間の定めも必要とされています。

また、対象期間の中でも特に繁忙を見込める期間は「特定期間」として設定することによって、労働時間のより合理化を図れることができます。

変形労働時間が対象となる期間の総労働時間枠の算出は、以下の式によります。
 総労働時間枠 = 「変形労働の総日数÷7」 × 40時間
※この一年単位の変形労働時間制では1週間の法定労働時間が、全て40時間となり、特例事業の週あたり44時間は適用されません。

対象期間中の労働時間の規定は、次のようなものがあります。
(1) 期間中の1週間あたりの労働時間が平均40時間であること。
(2) 対象期間が3ヶ月以上となる場合は、1年の労働日数が280日で限度。
(3) 一日あたりの労働時間は10時間が限度。
(4) 1週間の労働時間は52時間が限度。ただし、1週間の労働時間が48時間を超える場合は3週連続が限度。
(5) 連続出勤日数は対象期間でも通常は6日とされていますが、特定期間においては最大12日が可能となります。

また、この変形労働時間の割増賃金の対象となる時間外労働については、次に事項に該当する場合となりますが、各事業場の労使協定および就業規則の設定によって異なります。
(イ) 労使協定で締結した規定が一日8時間である場合は、8時間を超えた時間。この場合、対象期間中に6時間の所定労働時間があっても、8時間を超えない限り、割増賃金は発生しません。
(ロ) 1週間の労働時間が労使協定で40時間とされている場合は、1週間の合計労働時間が40時間を超えた時間から割増対象となります。ただし、特定期間等で労使協定の規定が、その期間だけ1週間の労働時間を52時間としたときには、52時間を超えた時間から割増対象となります。
(ハ) 対象期間の総労働時間枠を超えた時間から割増対象となります。この時、上記(イ)と(ロ)で既に割増対象となっている時間は重複するので、その分を計算には含みません。

※東京労働局、1年単位の変形労働時間制導入の手引き→
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/roudou/jikan/pamphlet/change_year.pdf

★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
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