0346 所得税148 損益通算2 通算の順序

損益通算の計算は、その損失をどういった順序で差引くのか?になります。その前に幾つかの予備知識として必要であれば、過去ブログを参考にして下さい。
★経常所得と非経常所得→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20140203
★変動所得と臨時所得→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20140205

さて、前回お伝えしたように損益通算ができる損失は所得区分の中で「不動産所得」「事業所得」「譲渡所得」「山林所得」の4つに限られています。これらの損失は「第一次通算」「第二次通算」「第三次通算」と控除する順序とルールがあります。

<第一次通算>
不動産所得または事業所得で生じた損失を経常所得の金額から控除します。
上記の損失のうち1「変動所得の損失金額」2「被災事業用資産の損失金額」3「その他の損失金額」と区分し、2つ以上の損失がある場合は3→2→1の順で差引きます。
経常所得は「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「雑所得」で、これを経常所得グループと呼び、ここから差引きます。
次に、総合課税の譲渡所得で損失が生じた場合は、まず一時所得の金額から差引きます。この時、一時所得の特別控除後の金額から差引き、総所得金額での合算時で50%となる前の金額です。

<第二次通算>
第一次通算での経常所得グループで引ききれない損失が残っている場合、譲渡、一時所得から差引きます。この場合は1「総合課税の短期譲渡所得金額」2「総合課税の長期譲渡所得金額」3「一時所得の金額」の順に差引きます。尚、それぞれは特別控除後の金額から差引き、2と3は差引いた後に50%を総所得金額として合算します。
第一次通算で譲渡・一時所得で引ききれない損失が残った場合には、経常所得グループの金額から差引きます。

<第三次通算>
第二次通算までの控除で、まだ尚、通算後に損失が残っている場合。この場合では経常所得グループと譲渡・一時所得での相殺後に残った損失となり、つまり総所得金額に損失が生じたことになります。この場合の損失は山林所得から、その次には退職所得から差引くことになります。

また、山林所得での損失は次の順序で控除します。
1「経常所得グループ」の金額から。
2「総合課税の短期譲渡所得金額」で特別控除後。
3「総合課税の長期譲渡所得金額」で特別控除後、50%前。
4「一時所得の金額」で特別控除後、50%前。
5「退職所得の金額」で50%後。

※「総所得金額」とは、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の4つの所得から損失が生じ損益通算した後、合算した所得です。これらの損失は上記で説明した通り「経常所得グループ」と「譲渡・一時所得」とに分けて第一次、第二次と計算します。このとき経常グループの利子、配当、不動産、事業、給与、雑所得の6つを相殺する所得対象として、非経常である譲渡・一時所得と区別して計算してゆきます。ここまでの8つの所得の損益通算した合計が「総所得金額」にあたります。そして、第三次通算では原則、分離課税である山林所得と退職所得で相殺することになります。
★繰越控除→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20140215
★給与計算と所得税http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131229
★所得控除の計算手順→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131223
所得税の課税方法→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120909
所得税の計算手順→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120917
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★ニーサ→http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130627/1372343935