0420 転職のスキル、準備編17 企業のあれこれ

かつて、米国の大手会計事務所「アンダーセン」では、クライアントが依頼してきた仕事を社員の処理レベルによって振り分けていました。この会計事務所に雇用されるだけでもたいした頭脳の持ち主ですが、クライアントの仕事規模(契約価格)によって人選し、選ばれた社員は与えられた仕事を、決まった日数、決まった時間で処理します。つまり、仕事量と時間が定められた完全合理化、個人能力主義の仕事であると言えます。高待遇を得るには、より高い契約の仕事を任されるしかありません。
このアメリカ有数の会計事務所は、10年ほど以前にアメリカのエネルギー会社、エンロン粉飾決算事件によって解散に追い込まれました。大きな会社といえども不正や信用不安は怖いものです。

日本企業、京都に本社がある京セラは「アメーバ経営」で有名ですが、このアメーバ経営も「時間あたりの利益」を、仕事の目標値として算出します。ただし、アンダーセン会計事務所と違う点は、個人主義ではなく、その企画や事業として必要最小単位の集団、グループ化して運営します。
これによって数値管理や経営のセンス、リーダーシップ等の育成に効果がありますが、役割分担による合理化や、同じ会社内でありながらグループ同士で軋轢ができ、非協力的な障害も起こり得ます。しかし、各グループは採算を伸ばすことを目標にしていますから、利益は、確保され易い手法でもあります。
一見、小売業や飲食業などは店舗ごとに売上や利益を競争させますから、アメーバ経営と似ている感じがしますが、どこまで権限委譲をするかで「似て非なるもの」となります。もちろん、この京セラのアメーバ経営のグループの中には女性も活躍しています。

広島を本社とする中堅会社の「メガネ21(トゥエンティーワン)」は、現在ではフランチャイズの募集も行なっていますが、社内の組織形態は完全といえるほどの「横並び」で、対外的には役職も必要ですが、課長や部長の役職も交代で行うほどです。社員の給料は社内で公開され、会社の売上や利益と費用の関係も公開されます。
横並び、水平な関係、つまり社内の人間関係は互に対等となる地位であるので、自由に意見を交わしやすい環境と言えます。

このように様々な考え方で経営を行い、企業といっても、会社によってその環境はかなり違いがあります。従業員は様々な能力を要求され、また、鍛えられてゆくのです。
金銭的な報酬とコミュニケーション報酬とは、残念ながら相反する傾向にあります。どちらにやり甲斐を感じるかは、それぞれ人によって異なります。どちらの要素を重視するのか、あるいは、どちらの報酬が高いほど幸福であるのかは、その会社に入って初めて感じるものかも知れません。

ここでは、考え方や要求される能力の違い、金銭に換算される待遇以外にも、日々の仕事をこなす上で、重要な役割を果たすコミュニケーション報酬の存在を知り、それを頭に入れて企業の選定を行い、次に自分の持っている能力とは、いったい何をどの程度持っているのかを、再確認することにしましょう。

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