0439 転職のスキル、準備編36 統率力

<(54)統率力>

統率力は「場をよみ、組織を動かす力」とされていますが、言わば「(29)リーダーシップ」の能力と位置づけられます。
リーダーシップの能力を4つの規模に分類して紹介します。「個人的な能力」「対人スキル」「組織、集団における能力」「革新的な能力」の4つ。これらの能力は対象とされる範囲が次第に大きな規模への問題解決となります。しかし、これも解説上は区分していますが、実際には分離して個別、独立した能力ではなく、これらの能力は複合的、総合的な能力として効果を発揮します。

リーダーシップに関する能力は、能力分解すると対人能力である「親和力」「協働力」を含んだ能力であるので、重複する内容は省略します。つまり、親和力、協働力は一定の能力がある上で次のようなものが加わります。

:個人的な能力:

(55)適切な決断力、意思決定能力が備わっている。
決断する背景にはリスクがあり、そのリスクをどの程度、予測できるかが問題。ただし、個人的能力には違いありませんが、その内容や状況、決断後の影響を考慮すると、立場によって組織レベル、全社レベルと範囲が大きく異なります。

(56)自己啓発を怠らない。
知識の獲得や、資格の取得も自己啓発ですが、日事目標(今日は何を意識して実践するか)を設定して、毎日がトレーニングです。

(57)自主的に行動する。
他者への気付きや助ける意味もありますが、自主的行動の意味は問題や課題を発見し、分析し、解決する手段を考え、行動することです。これは短時間、短期間、あるいは長期間に渡って実行を要するものがあります。

(58)完遂する。
個人レベルで目標の設定を行い、ゴールに向けてのプラン建てを行い、最後までやり遂げる。根気や粘り強さを鍛えます。

(59)その分野の専門知識、技術等を習得する。
その職務内容に準ずる専門性を身につけることによって、仕事への躍進が期待でき、他者から信頼を得ることができます。
(60)時間的考察が身についているか。
時間考察は意思決定における重要な課題となるリスク要因です。この辺については、次項の「意思決定能力」で扱います。

(61)内容分類ができるか。
毎日同じ仕事をしていると、同じような事象が起こりますが、その内容を精査し、異なる性質を発見し、より合理的な対応ができるかどうかです。似て非なるもの、似た言葉の意味の違い、このように「小さいが決定的な違い」生じる場合に、その違いを説明、分類できる能力。

(62)概念的思考力
前述した「内容分類」の延長にあるもので、物事のパターンを見抜いたり、思考の幅を広げる。また、フレームワーク、新しい見方を創りだすこと。
これは61の「分類」をする思考力とも言えます。仕事や人を観察するとき、能力そのものを分解、分類する理解力も重要です。能力とは実社会で活動する場合の仕事上、または生活上の処理すべてを指します。つまり、自分でその対象となる能力そのものを定義づけ、分類する思考力です。高校や大学において成績優秀だった者が、実社会では人並み程度の活躍しかできない場合があります。これは予め定められた知識の獲得や、テストを処理する能力には優れているだけで、多種多様な定義づけのフレーミングが必要とされる実務では、その応用や適応が勉強程の能力が備わっていないことを指します。

(63)自分の比較優位性を理解している。
これは得意、不得意を知り、他者と自分を比較して、より問題を正確に早く解決できるかどうか。自信をより強固にして、他者からの信頼を獲得できる、言わば得意分野。

(64)自分の役割を理解している。
組織や集団の中で、現在の自分がどのように関わりを持ち、何を求められていのかを理解し、貢献することによって自己と組織の関係が拓けてゆき、その期待に応えるため、集中力を発揮します。この「自己の役割」については広く捉えることによって、社会性を認識し、社会の一員としての貢献活動を行っていると言う視点も含まれます。

(65)柔軟性(flexibilityフレキシビリティ)。
この能力は自己成長を欲するときにも不可欠な要素で、自己の中の「素直さ」取り出し、他者からの批判を受け止める力が必要です。長期的な目標を達成してゆくプロセスにおいても、目標に早く、より正確に到達することが予測できれば、準備段階においても、途中経過の中でも変更することが決断できる能力です。

(66)適応性(adaptablebilityアダプタブルビリティ)
先の柔軟性が、考え方や価値観、あるいは見方の幅を広げるものであるのに対して、適応性は、既に持っている能力を場に応じて引き出す力です。例えば人事異動があった場合、接する人、組織の体質、勤める場所、仕事内容など、職場環境全体が以前と違ってきます。このようなとき、何が必要で何が不必要なのかを模索しながら順応してゆく能力です。広く、深く、様々な能力があれば多くの適応を可能としますが、同時に感情のコントロールや心理面の耐性も要求されます。能力の範囲が狭いほど、心理負荷も重たくなる傾向があります。

適応性が求める、主たる変化は「環境」によるものですが、この中には「時間」による変化も含まれています。人的、地理的、組織等の体質、評価、規則、文化、宗教、政治などの要因があり、間接的な要因として時間が関わり、世代間の価値のズレや、自己能力の低下、外部環境の変化など、気付き難いリスクと言えます。

★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/