0447 転職のスキル、準備編44 意思決定3

前回を参考に、ここでアイコさんが歩数計を購入するまでのプロセスを追ってゆきます。

(1)まず、最初はこの歩数計を購入すること、つまり、プレゼントを買う必要を感じた原因となる「動機」や「起因」、あるいは「引き金」と呼ばれるもので、必ず内的要因と外的要因が存在します。
アイコさんがプレゼントを買う動機は、取引先の上司が誕生日であること。交流会に来るということの外的要因です。この時、対応としては交流会そのものを欠席すること、いわゆるドタキャンも、出席はするがプレゼントなし、と言うことも選択できます。しかし、彼女は出席して、プレゼントも用意することを選択、実行します。それは交流会を毎回楽しみにしていて、今回も同様に期待している。プレゼントの購入は、相手が喜んでいる姿が想像できる、仕事上の良好な関係を保つことに寄与し、自分の好感度を上げることを印象づける。もしくは好意的関係が悪化することを防ぐ効果が期待できます。彼女はこれらのことを直感的に頭の中に描き、その内的要因がプレゼントを贈ることに迷いない動機となったわけです。

(2)次に、実際にプレゼントを買いに行く時、どのような選択をすれば喜ばれ、効果があるのか?もう一度、相手との関係やプロフィールを確認、考えます。いわゆる「現状把握」、「現状確認」とよばれるものです。
   プレゼントを贈る相手は30代半ばの男性、既婚者、小柄で少し太り気味、取引先の上司、陽気な性格の印象、これまでに仕事上では何度も会っていますが、飲み会では初めて。プレゼントを選ぶ時間的余裕は約1時間。趣味が何かは知らない。

(3)アイコさんが想像する「着地点」、プレゼントを贈る意味、最大の目的は「より良好な関係を保つ」である。交流会に取引先の上司が来る、しかもその上司は誕生日であるとの連絡に、アイコは無視したり、知らない振りをしてやり過ごすことは、事前に連絡を頂いたことに反して、良い結果は生まれないであろうと感じたのです。このことから「誕生日を祝う=プレゼントを贈る」と単純な発想ではあるが、それ以外に特に方法は浮かばないので、問題はプレゼントの内容に移ります。仕事上は大切な関係である相手ですが、個人的には近いとは言い難い、親しい間柄ではありません。当初、彼女はプレゼントを失礼のない、儀礼的な行為として対応を考えていました。それで充分、プレゼントを贈る意味が達成されると考えていたのです。

(4)しかし、百貨店に行き、予定していたハンカチ等を手にしてみると、ありきたりでつまらない贈り物に思えてなりません。時間も限られていることから、彼女は友人に電話をして意見を伺います。そこで様々なプレゼントの種類を参考にして選択肢が広がります。改めて、アイコはどのようなプレゼントがより有効であるかを検討します。

(5)取引先との良好な関係を保つ、その目的だけであればどのようなプレゼントでも、贈り物を手渡すだけで問題はなさそうです。アイコのプレゼント選択基準は、まず価格帯が3,000円前後、これは考えが変わりません。相手との関係性、自己負担額を鑑みると妥当な金額と思っています。それから、その3,000円で買える物で比較的高級なもの。
これは、例えば3,000円で腕時計やネクタイは明らかに安物ですが、ハンカチや靴下では高級ではないかと判断しました。このことはアイコが以前に、会社の上司からアドバイスを頂いた知恵です。「その金額の範囲で高級な物を贈物としなさい」、これをプレゼントの価値基準として選択しますが、ハンカチではあまりにもありきたりなので、友人に意見を求めた後、その価値基準に「実用性」や「楽しさ」も追加して考えました。

(6)アイコは使って楽しいものが同じような価格でも、より相手に喜ばれ楽しんでもらえて、印象も良いのではないか、そう考え直してスポーツグッズを探し始めました。最初は考えてもいなかった物です。スポーツグッズが並べてある売り場を歩き、直感的に「面白そう」と手にした物が歩数計だったのです。
価格は4,000円に近いものでしたが、歩数計の中では中の上といったクラス、実用的でもあり、使って楽しそうでもあり、アイコが考えていた条件に凡そ満たしているので、購入を決定したのでした。もちろん、相手が持っていたり、嫌味に受取られる可能性はありましたが、それでもアイコはハンカチを選択するより、喜ばれ、印象付られるのでは、と期待が膨らみ決定に至ったのです。

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