0449 転職のスキル、準備編46 意思決定5

(1)「動機」「起因」「引金」
意思決定を行うきっかけとなるもの。つまり、解決しなければならない問題を認識すること。その問題認識には外的要因と内的要因から構成され、外的要因は外圧、強制的な状況、あるいは外部環境の変化や興味を引かれる刺激、観察、必要な情報と氾濫する情報。これらは全て外的なものからの触発で問題と関わり、これらの事象をどのような視点で捉え、どのような目的、価値を持って扱うか、この内的な感受や思考によって、意思決定の動機の捉え方、その後の対処が変わってきます。

(2)「現状把握」「状況理解」
意思決定を行う場合、無条件に何でも選択の幅を広げることは通常ありません。直感にしても瞬時に自分で制約条件を決めています。現状には、それを選択した場合にどれくらいの費用が掛かるか?あるいは自己のみで処理できる範囲や性質のものであるのか?他者への共有や分担は可能か、その方が適切か?現実的に対応ができる、その範囲や条件を認識し、確認をして、より適切な意思決定に結びつけます。

(3)「目的、目標設定」あるいは「着地点」
選択することを一つ「問題」として定義するなら、意思決定は問題解決の核となる能力です。適切な意思決定を繰り返すことによって、結果的により良い問題解決が図れます。この意思決定の繰り返しには、その都度ごとに目的、目標が存在し、その先に着地点が見えてきます。目的、目標、そして着地点は、まず(1)の動機をどのように捉えるか、(2)の現状把握を認識し、制約条件の在り方によって目標等の設定、方向性そのものが変わってきますので(1)(2)と密接な関係の上に成立します。

(4)「立案」「手法」「計画」等の選択支を増やす。
これは先の(3)の目的や目標において具体的な手法や案を、より多く創出することで、選択肢の幅を広げ、その中でより有効な意思決定を行います。視点や発想、価値観を疑い、様々な実行案を出すには柔軟な思考を許容し、もしくは知識に幅を持たせることが必要となります。このことは自己のみで実行案を考え出すのではなく、複数で情報共有して意見交換し、立案等を増やすことが有効です。複数の参加によって(1)〜(3)の過程で決めていた設定は、より有効と思える案があれば、それに伴って修正や変更に至る場合もあります。

(5)「選択基準の設定」と「選択」
選択基準、つまり選択、選別するにあたって条件を設けることで、その条件にできるだけ適した内容の選択を行います。(4)の立案や計画の評価を行い、複数の案のメリット、デメリットを考えるわけですが、この時に一定の基準がないと比較と選択が困難になります。そして判断にはスピードが求められ、意思決定位の最大のリスクは判断の遅さです。なので、選択基準を設定することで選択の単純化を図り、精査にかかる時間的リスクを避けることも大切です。

(6)リスクマネジメント
意思決定を行った後にも、リスクは必ず生じます。想定範囲であるリスク、予測できるリスク、見えないリスク、様々な性質のリスクが選択や判断の中に存在します。リスクを事前に予測して避けることも大切な手法ですが、敢えてリスクにチャレンジすることは、それ以上に重要です。リスクを軽減するには「準備」するしかありません。追加資金の準備、追加人員の準備、代替案、修正案の用意、トレーニング・・・・・・。失敗を恐れずに意思決定を行い、失敗したときには、どの時点で何が不足していたのかを知ることが、次のステップで、より良い問題解決へ近づく鍵となり、成長に不可欠なものと言えます。ただし、注意すべきことは、このリスクを過大評価し、必要以上に悪く見積もって意思決定そのものが尻込みしたり、適正から大きく外れることがないように、頭に入れておかなくてはなりません。

意思決定の全てが常時、上記のような順序で進んでゆくわけではありません。目標設定時にリスクを考慮したり、選択基準が浮かんだり、実際の意思決定の過程には順序が混同、同時進行が起こったりします。しかし、選択、選別、判断、決断、決定、これら意思決定のプロセスを分解し順序立てて解説すると上記(1)〜(6)のような過程を進みます。

普段、私たちが生活する上でも、仕事で上のことにしても意思決定の連続で行動しています。無意識のうちにこれらの手順を踏み、判断している場面も数多くあるでしょう。意思決定を速く、適切さの精度を高めるのであれば、これらの手順を強く意識して、繰り返し経験を積み、できるだけ結果を検証してゆき、これら一連の作業を学習してゆくことが大事なのです。

意思決定はこのように、日常的に私たちの生活に欠かせない能力として大きな位置を占めます。このことによって、自己の心理が大きく変化し、あるときには不安が解消され、人間関係が円滑に進み、目標が達成され、リスクが軽減され、将来が拓けてゆきます。従って、自分では認識しにくい能力ではありますが、たいへん重要なスキルとしてトレーニングする価値のあるものです。

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