0301 所得税104 給与所得9 旅費

さて、会社から給与以外の支給で、それが所得に該当せず非課税扱いとされる場合には、できるだけ現金支給ではなく現物支給で、特定の者だけを対象とせず、その金額が合理的相当額であること、が判断とされる考え方であることは前ブログ等で簡単に説明しました。

しかし文中の「特定の者だけ」という表現には注意が必要です。例えば、転勤で他府県に異動となった場合、その職務上の指令を受けた者だけが、引越し費用等の支給を受けることになりますが、このようなことを「特定の者」と指しているのではありません。

このような場合は、転勤の指令があれば従業員の誰もが相当額の支給を受ける点で平等と言えます。それから職務上生ずる費用を会社が補填する支給であるので、所得が増加する意味も殆どありません。つまり「特定の者」とは相当額以上の「優遇」を受ける者で、その過剰分が所得税の給与に該当する可能性が高くなる、と言うことです。

上記のことを踏まえて、次の、給与とならない経済的利益(つまり非課税)をみてゆきましょう。


(8)旅費
転勤などの引越し費用は、その相当額を大きく逸脱しない限り、非課税となります。ただし、これらの支給については原則、他の手当のように給料と同じ扱いとして支払う必要があります。

旅費の場合には様々なケースが想定されますが、非課税となる範囲についての目安として次のような条件があげられます。
イ) : 旅行の目的が職務において通常、必要とされるものか。
ロ) : その旅行の目的地や経路は、職務から逸脱せず合理的と言えるもか。
ハ) : 職務遂行上で宿泊が必要か、あるいは遠方であるか。
ニ) : 旅行の日程および期間は、職務上において適切か。
ホ) : その旅行は職務にふさわしい内容か、あるいは職務的地位において適切か。


ここで問題となるのが、研修旅行や合宿等の名目で、会社からの命令としてその旅行を遂行しても、職務上と観光が混同するような場合は原則、観光にあたる部分は職務外と判定され、その分の支給は給与としてみなされ結果的に課税される可能性が高いと言えます。

これに対して、会社が慰安旅行のような行事を企画して、そのような旅行を遂行した場合、その意味は福利厚生の要素となります。福利厚生での旅行は企画上で全員参加である場合も多いと思いますが、給与所得に当たらないとする条件では、職場の半数以上の出席が必要とされています。

このように、研修旅行に行った者だけが観光をした場合では「特定の者の優遇」とみなされる可能性が高く、従業員みんなで行く旅行と区分けして考える必要があります。また、役員のみで行く視察旅行等も税務署の目は厳しいので、その旅行の目的や日程、一日単位の行動内容、それに伴う費用の記録などを保存していた方が無難です。

他には単身赴任や出張の職務の者が、本社や元の支社などで会議や業務の職務で戻るとき、その前後を帰宅して宿泊や旅行を行い、会社からその費用の支給があった場合は、2日間以内の帰宅で帰宅日の日当や宿泊料は原則非課税とされています。しかし、職務ではなく定期的に自宅に戻ることに対し、会社が手当として支給している分は課税対象になります。


★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
国税庁、従業員レクリエーション旅行や研修旅行→http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2603.htm
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