0050 礼状って?

応募書類3役のほかに「お礼状」というものがあります。これは添え状よりも一般的に実行している人は少ないでしょう。手引書や履歴書、職務経歴書の書き方等の参考書をみても紹介してないケースも多く、セミナーに行くと講師が「ちらほら話す」程度です。

この礼状ですが、応募した企業に対して面接や書類選考を受けて頂いた、という感謝から「お礼状」を送るわけです。
つまり採用選考から落ちてしまった企業に対してとなります。ですから相当その企業に就職して活躍したかったという思いがないと、なかなか「書いて送る」という行為には至らないと思います。強い思いが残る企業に対して、このまま簡単にあきらめることはなく、失礼のないようにその思いを伝えておくことがこの「お礼状」の意味、価値があります。

多くの企業に応募を繰り返していると、採用されるまでに様々な経緯があります。
どうしてもやってみたい仕事。探しても簡単に募集告知と巡り会わない職種。
それから企業によっては面接や会社説明会等で仕事内容や日常業務を見学させてくれるケースもあって、そこで興味を引かれる場合、面接に行って会社の雰囲気や面接官との交流が好感的に印象に残ったり、いろいろな思いが募ることも珍しくはありません。
もっとも全く興味が湧かなかったり、面接官や会社の雰囲気が思いのほか悪かったり、そっちのケースもよくある話です。


ビジネスにしても、企業の採用にしても結局は人と人のつながりで成り立っているわけですから、つながりを大切に考えて、お礼状を送るというのも健全な気持ち、常識ある考えの現れです。送るのであれば面接以上の接点があった方が自然と思いますが、書類選考だけでも気持ちが強ければ送ればいいと考えています。もう既に落ちた会社なのですから、ダメもとです。

書き方ですが、これもビジネスマナー文書の「・・・に対するお礼状の書き方」等を参考に形式に沿って書いてください。面接などに時間割いて考慮していただいた御礼を形式的に伝え、まだ御社に対して興味も希望も持っていますよ、とそれとなく文章に盛り込んでおきます。ここのポイントは一人よがりにならないことです。さらりと伝えてください。気持ちを書き過ぎたり、くどい表現になったりすれば、相手はあなたの文章から「採用や審査に不満がある」とクレームに感じる可能性もあります。礼儀をわきまえて、意味は可愛らしくです。

この礼状を軽くみてはいけません。こういう例があります。
中小企業にあった例ですが、その応募した人は面接で落ちてしまいました。そのあと「お礼状」を送ったわけです。ところが企業の採用した人は試用期間中で辞めてしまい、再度募集となったわけです。担当者は募集を公開する前に、そのお礼状が頭に残っていたので、優先的に連絡し、その人の意思を確認して即採用の流れになったそうです。
先日書いた履歴書の免許・資格欄に簿記の勉強中と書いただけで、「やってみるか」と声をかけられたケースもあり、どんなことでも遠慮なくアピールしておくことが、チャンスをつかむ一因です。

お礼状を書いて送ることは「敗者復活の切符」を手にするチャンスといえます。