0223 所得税33 事業所得3 事業所得以外の税金・消費税

消費税は、物品販売やサービスの提供によって獲得した売上金の中に、お客様から頂いた消費税が含まれています。この消費税は受取った側の、事業主にとっては「預かり消費税」となります。一方では、その事業者も商品の仕入れや、サービスの提供にあたって費用の支払いがあり、その出費の中で、やはり消費税を支払っています。この時の消費税を「支払い消費税」と言い、「預かり消費税 − 支払い消費税」の差額を計算して、消費税の納税を行うことになります。

消費税の納税も、原則として翌年の3月末までの申告納税となります。しかし、どのような事業主も消費税の納税義務が生じるわけではありません。2年前の課税売上高が1,000万円を超えると「課税事業者」となり消費税納税が必要ですが、1,000万円以下であれば「免税事業者」で消費税納税の必要がなくなります。新しく開業された場合2年間は免税事業者となります。

この免税事業者の要件は、来年の平成25年から要件が少し厳しくなるので注意が必要です。例えば2年前(平成23年)の課税売上が1,000万円以下で免税事業者であっても、昨年(平成24年)の課税売上1月〜6月の期間に1,000万円を超えているか、給与支払い総額が1,000万円を超えると課税事業者に該当します。

※ 課税売上高は、非課税や不課税、免税等の消費税が係らない取引の売上ですが、この範囲規定に関しては様々なケースがあって容易に判定できないこともあります。
※当ブログ0242、消費税の計算、非課税、不課税、免税について→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130213

消費税の納付額を計算することは、結構な難しさです。帳簿等に日々、しっかりと会計記録をしておかないと正確に算出することはできません。これは消費税や事業所得の納税だけに限らず、事業を営む者であれば、売上や費用の把握、経営計画や銀行から融資を受ける場合等、様々な場面で会計知識や正確な記録が不可欠とも言えます。

消費税5%の内訳は国税が4%と地方税が1%となっています。実際に消費税を納税するにあたっては、1月1日〜12月31日までの一年間の分を翌年の3月末までに申告納税(消費税分の確定申告)しますが、消費税の納税額が48万円(国税分、地方税を合わせると60万円)を超えると中間申告が必要になります。

この中間申告は48万を超えて確定申告した翌期(確定申告は去年度の計算なので、今年の分)から強制的に適用されますから注意が必要です。納税期日を超えると延滞税も加算されます。中間申告は消費税納税額が多い程、その申告回数(納付回数)も増えてゆきますから、消費税制度の仕組みとして知っておいて、実際の計算や規定等は税理士に任せた方が間違いもなく、合理的と言えそうです

消費税申告においての計算は前述した通り、原則は「預かり消費税−支払消費税」ですが、これとは別に「簡易課税」を選択することもできます。この選択には2年前の課税売上高が5,000万円以下であることが前提で「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が、計算される年度の前年までに必要となります。

簡易課税の計算では、実際に支払った消費税は無視され「みなし仕入率」という、業種によって仕入率が違う簡易計算によって申告します。「卸売業:90%」「小売業:80%」「建設、製造、農林、漁業など:70%」「飲食店、金融、保険など:60%」「運輸。通信、不動産、サービス業など:50%」と規定され、「支払い消費税 = 預かり消費税 × みなし仕入率」で算出します。

この簡易課税は、上記のとおり消費税納税額の計算は簡単ですが、実際の支払った消費税ではないため、支払い消費税が多い場合は不利な計算結果になりますし、預かり消費税より支払い消費税の方が多かった場合には、申告によって還付されるべきものが、簡易課税ではできなくなるデメリットもあるため、簡易課税の選択には十分な検討が必要です。一度、届出が受理されると通常2年間変更できなくなっています。
 
消費税の計算だけはなく、事業を始めて会計記録を行うときに、その経理処理は「税込」で行うのか「税抜き」で行うのかを決めなくてはなりません。どちらが有利に働くかのかはケースバイケースで確定しませんが、数字上の正確な把握は「税抜き」の方で、経理処理そのものは「税込」の方が簡素です。


たいへん大雑把ですが消費税がどのような納税制度であるか簡単に解説してきました。しかし事業として一定の規模になると、個人レベルで帳簿や会計記録の事務的な手間や管理を行うには限界があるでしょう。また、その会計データから経営上の分析や計画まで考えると、これはもう税理士や会計士に任せた方が良さそうです。任せた上で、会計や税務の様々な対応ができる知識を獲得しておきましょう!

※当ブログ0243、青色申告決算書の租税公課、消費税については→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130219

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102