0290 所得税93 譲渡所得23 株式の譲渡(総合課税)

有価証券の譲渡も原則「申告分離課税」の対象となりますが、その種類や内容によっては総合課税、または別の所得として扱われます。

また、一部の有価証券、公社債新株予約権社債を除く)や公社債投資信託などは譲渡をしても非課税扱いとなっています。非課税となる公社債の種類については下記の国税庁ホームページを参考にして下さい。

※譲渡所得の対象となる資産と課税方法→http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3105.htm

●総合課税に該当するもの
(1)株式形態によるゴルフ会員権の譲渡による所得。
(2)国外で発行される割引公社債(いわゆるゼロクーポン債)を国内で譲渡したことによる所得
ゼロクーポン債と税金→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1515.htm
(3)割引の方法により発行される公社債に類する利付公社債を国内で譲渡したことによる所得
(4)国内で発行される割引公社債で、独立行政法人住宅金融支援機構、旧住宅金融公庫沖縄振興開発金融公庫独立行政法人都市再生機構、旧都市基盤整備公団、旧住宅・都市整備公団、並びに外国政府、外国の地方公共団体及び国際機関により発行されるものの譲渡による所得
(5)国内で発行される一定の短期割引公社債の譲渡による所得
(6)利子が支払われない公社債(割引公社債を除きます。)の譲渡による所得

上記の総合課税となる株式や債券の解説は国税庁ホームページを参考にしています。

ゼロクーポン債は主に米ドルとユーロで、利息がない公債で、満期による額面から割引された金額で購入し、満期になると額面とおりの金額が償還され、その差益が実質的な利息収入となります。長期のゼロクーポン債では実質複利計算の利息収入となります。証券会社等の金融機関で扱っていますが、会社によって割引額が違ってきます。

課税関係は、まずゼロクーポン債は利息収入がないので利付債等の源泉分離課税は起こりません。満期になって得る償還差益は雑所得として、中途売却による差益は譲渡所得の扱いで、それぞれ総合課税として合算します。

上記(3)の「割引の方法により発行される公社債に類する利付公社債」とは主にストリップス債とディープディスカウント債とよばれるもので、ストリップス債は元本利子分離債と言い、米国やユーロ圏では元本部分と利息部分が分かれた割引方式の国債ですが、日本国内の販売は元本部分のみの割引債です。

これらの債券は、利息(クーポン)に当たる部分と満期償還される額面金額から利率を逆算して割引した販売額との差益、この二つの関係から成立つ金融商品で、利付債は割引による満期償還差益はなく利息のみ、ゼロクーポン債は利息がなく満期償還差益のみ、ディープディスカウント債は利息にあたる部分を低く設定し、割引率を高くした国債です。
上記(5)の短期割引公社債とは満期が1年未満のものです。

総合課税での譲渡所得の計算は以下の通りです。

短期譲渡所得は、その株式等の取得日から5年以内で、長期譲渡所得は5年超えです。

譲渡所得={株式等の譲渡による収入金額−(その株式等の取得費+譲渡費用+その株式取得に対する借入金利子)}−(特別控除額)

算出において短期よ長期の両方の譲渡所得が発生する場合には、先に短期譲渡所得から特別控除を差引き、控除額に余りがある場合に限り、次に長期譲渡所得から差引きます。尚、特別控除額は最大で50万円です。

短期譲渡所得はそのまま全額が総合課税として合算しますが、長期譲渡所得はその金額の半分(50%)を総合課税として合算します。

国税庁、株式等以外の有価証券の譲渡による所得(総合課税)→
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1472.htm
国税庁、譲渡所得の計算(総合課税)→http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3152.htm