0452 転職のスキル、準備編49 意思決定8

<ラテラルシンキング(lateral thinking)>

ロジカルシンキングが対象となる「問い」を深く掘り下げてゆくことに対して、ラテラルシンキングは幅を広げてゆきます。ロジカルは垂直思考(vertical thinking)とされ、ラテラルは水平思考とされています。

ロジカルは論理であるので左脳が働き、ラテラルでは右脳でデザイン等の発想や抽象的な事象を処理する脳と言われています。

この水平思考は、単純に思いつくまま選択の種類や方法を増やすことのように思いますが、そこには視点や発想(フレーミング効果)を変えたり、先入観や固定観念を疑ってアイデアを導き出したり、あるいは既存の知識や技術を組み合わすことで、新たな創造を起こします。ラテラルシンキングは難題の突破や革新性を求めることに力を発揮する思考法です。

問題解決の場合、ロジカルシンキング(前回のブログを参考に!)のみで実際に対応することは不可能と言えます。原因や因果関係、あるいは相関関係などは論理立てた思考ですが、想定や仮定における新案や代替案、そしてアイデア。意思決定を行う場合には必ずいくつかの方法が必要とされます。その方法の有効性や手順を考えることはロジカルですが、方法そのものを発想したり、種類の幅を広げる思考はラテラルと言えます。

ロジカル、ラテラル、この二つの思考法は垂直と水平思考の名の通り、縦の線と横の線が組み合わさって「面」と成り、より意思決定を有効なものにします。

★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/

 0451 転職のスキル、準備編48 意思決定7

ロジカルシンキング(logical thinking)>

思考法の代名詞がこのロジカルシンキング(論理思考)で、因果関係の構造を紐解いてゆく手法で、問題解決の手順を組立て、そしてそのプロセスを実行し役立て検証してゆくことです。

「考える」ことはその対象となる「問題」があり、問題は多くの場合、複数の要素が絡んでいます。論理思考は、これらの複合的な問いを分類、分解、分析、処理、そして解決へと構成立てて頭の中に、あるいは箇条書きや図解、思考法のツールを使って想定します。

論理思考はいわゆる「垂直思考」で、ゴール(問題解決)に向かって順を追って選択と決定、リスクの排除、軽減を定めてゆきます。時系列的な考え方で、ちょうどシナリオを作成することと似ています。また、シナリオそのものもビジネスの問題解決の手法として使用されています。

一度くらい聞いたことがあるかも知れませんが、ロジカルシンキングの手法はたくさんあり、「帰納法」「演繹法」「ゼロベース思考」「仮説思考」「ミッシー(MECE)」「ロジックツリー」「イシューツリー」「SWOT分析」等など。これらは思考整理のツールとして利用されますが、ここで一つひとつ解説してゆくことは止め、論理思考の概念的な説明とします。

論理思考では、まずどのような事柄を「問題」として扱うか?考えてみれば日常の殆どは問題の連続なのです。夕食のおかずにしても、子どもに新型のスマホを買い与えるか、あるいは来月のプレゼンをどのように構成し、相手の興味を惹くのか?このような事を毎日繰り返して私たちは暮らしているのです。

意思決定をすることは、その対象となる問題があり、問題をどう捉えるか、どのような切り口でアプローチするのかと言う視点があり、次にその問題解決のプロセスを考える段階で具体案の選出があり、そしてより現実的に実行可能な方法の検討があり、そしてそれら全体の構成を考えます。時間的な制約、コスト、着地点、誰が意思決定をすべきなのか、このあたりのことが問題解決の困難なところで、論理的考える他ありません。

問題には「発生した問題」「発見した問題」、解決方法では自己完結もあれば関係者に協力を求めるもの、解決を意味する実行とは他者が理解を示すことです。もっと簡単に言えば「入力」「処理」「出力」で、その部分部分のプロセス、全体の流れを合理的に作り上げてゆきます。

★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/

 0450 転職のスキル、準備編47 意思決定6

さて「意思決定」には密接に関わるものがあります。表裏一体といったように、表側が意思決定であるなら裏側は「思考法」と言ったところとなります。

様々な思考によって意思決定が成されます。思考法には特別に規則があるわけではありません。ですから個人的に自由に思考、整理して構わないのです。思考法と名のつくものは数多く存在します。しかし、思考法を大きく分類すると3つしかありません。正確に言えば「3つ+1」です。

一つは「ロジカルシンキング(論理的思考)」、もう一つは「ラテラルシンキング(水平的思考)」で、最後に「クリティカルシンキング(批判的思考)」です。これら3つの思考法が組み合わさって適切な意思決定が成されます。

「3つ+1」のプラスワンにあたる部分の思考とは「ゲーム理論」を指します。複数の参加者で互いに利害関係のある状況でそれぞれの参加者が自己の利益を追求するときの意思決定です。例えば、ビジネス上の競争で同じマーケットで同じカテゴリーの商品を販売するとき、自社が敵対する競合相手より優位に立場にたつ戦略等に使用されます。
また、様々な戦略パターンがあり、応用することによって多くの場面で活用できる思考法の一つです。ゲームとは「課題」「問題」にあたり、問題解決の本質的な構造やルールを知ることで、ゲーム理論を企業経営等の戦略的意思決定に適応できます。

ここではゲーム理論について深追いせず、次回からロジカル、ラテラル、クリティカルシンキングについて意思決定の関わりを案内してゆきます。

★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/

 0449 転職のスキル、準備編46 意思決定5

(1)「動機」「起因」「引金」
意思決定を行うきっかけとなるもの。つまり、解決しなければならない問題を認識すること。その問題認識には外的要因と内的要因から構成され、外的要因は外圧、強制的な状況、あるいは外部環境の変化や興味を引かれる刺激、観察、必要な情報と氾濫する情報。これらは全て外的なものからの触発で問題と関わり、これらの事象をどのような視点で捉え、どのような目的、価値を持って扱うか、この内的な感受や思考によって、意思決定の動機の捉え方、その後の対処が変わってきます。

(2)「現状把握」「状況理解」
意思決定を行う場合、無条件に何でも選択の幅を広げることは通常ありません。直感にしても瞬時に自分で制約条件を決めています。現状には、それを選択した場合にどれくらいの費用が掛かるか?あるいは自己のみで処理できる範囲や性質のものであるのか?他者への共有や分担は可能か、その方が適切か?現実的に対応ができる、その範囲や条件を認識し、確認をして、より適切な意思決定に結びつけます。

(3)「目的、目標設定」あるいは「着地点」
選択することを一つ「問題」として定義するなら、意思決定は問題解決の核となる能力です。適切な意思決定を繰り返すことによって、結果的により良い問題解決が図れます。この意思決定の繰り返しには、その都度ごとに目的、目標が存在し、その先に着地点が見えてきます。目的、目標、そして着地点は、まず(1)の動機をどのように捉えるか、(2)の現状把握を認識し、制約条件の在り方によって目標等の設定、方向性そのものが変わってきますので(1)(2)と密接な関係の上に成立します。

(4)「立案」「手法」「計画」等の選択支を増やす。
これは先の(3)の目的や目標において具体的な手法や案を、より多く創出することで、選択肢の幅を広げ、その中でより有効な意思決定を行います。視点や発想、価値観を疑い、様々な実行案を出すには柔軟な思考を許容し、もしくは知識に幅を持たせることが必要となります。このことは自己のみで実行案を考え出すのではなく、複数で情報共有して意見交換し、立案等を増やすことが有効です。複数の参加によって(1)〜(3)の過程で決めていた設定は、より有効と思える案があれば、それに伴って修正や変更に至る場合もあります。

(5)「選択基準の設定」と「選択」
選択基準、つまり選択、選別するにあたって条件を設けることで、その条件にできるだけ適した内容の選択を行います。(4)の立案や計画の評価を行い、複数の案のメリット、デメリットを考えるわけですが、この時に一定の基準がないと比較と選択が困難になります。そして判断にはスピードが求められ、意思決定位の最大のリスクは判断の遅さです。なので、選択基準を設定することで選択の単純化を図り、精査にかかる時間的リスクを避けることも大切です。

(6)リスクマネジメント
意思決定を行った後にも、リスクは必ず生じます。想定範囲であるリスク、予測できるリスク、見えないリスク、様々な性質のリスクが選択や判断の中に存在します。リスクを事前に予測して避けることも大切な手法ですが、敢えてリスクにチャレンジすることは、それ以上に重要です。リスクを軽減するには「準備」するしかありません。追加資金の準備、追加人員の準備、代替案、修正案の用意、トレーニング・・・・・・。失敗を恐れずに意思決定を行い、失敗したときには、どの時点で何が不足していたのかを知ることが、次のステップで、より良い問題解決へ近づく鍵となり、成長に不可欠なものと言えます。ただし、注意すべきことは、このリスクを過大評価し、必要以上に悪く見積もって意思決定そのものが尻込みしたり、適正から大きく外れることがないように、頭に入れておかなくてはなりません。

意思決定の全てが常時、上記のような順序で進んでゆくわけではありません。目標設定時にリスクを考慮したり、選択基準が浮かんだり、実際の意思決定の過程には順序が混同、同時進行が起こったりします。しかし、選択、選別、判断、決断、決定、これら意思決定のプロセスを分解し順序立てて解説すると上記(1)〜(6)のような過程を進みます。

普段、私たちが生活する上でも、仕事で上のことにしても意思決定の連続で行動しています。無意識のうちにこれらの手順を踏み、判断している場面も数多くあるでしょう。意思決定を速く、適切さの精度を高めるのであれば、これらの手順を強く意識して、繰り返し経験を積み、できるだけ結果を検証してゆき、これら一連の作業を学習してゆくことが大事なのです。

意思決定はこのように、日常的に私たちの生活に欠かせない能力として大きな位置を占めます。このことによって、自己の心理が大きく変化し、あるときには不安が解消され、人間関係が円滑に進み、目標が達成され、リスクが軽減され、将来が拓けてゆきます。従って、自分では認識しにくい能力ではありますが、たいへん重要なスキルとしてトレーニングする価値のあるものです。

★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/

 0448 転職のスキル、準備編45 意思決定4

前回ブログ(1)〜(6)のアイコがプレゼントを購入するまでの流れです。

一見簡単に思える選択にも、かなり複雑なプロセスの上に成り立っています。また、規模が大きく、利害関係が多数に及ぶ問題解決の意思決定も同様のプロセスを踏みます。つまり、意思決定が行われる過程に、規模や性質によって異なることはなのですが、一つひとつの過程がより複雑になり、高度な意思決定が要求されます。

この意思決定の能力は、個人の資質が深く関わってきます。例えば「先入観」や「思い込み」、あるいは「プライド」や「価値観」などが適切さを阻む要因になり得ます。本来、適切な意思決定を行うには、これらの要因を除くことが大切なのですが、なかなか困難で、自己においてその資質を自覚し、リスクとして考慮しなければなりません。

具体的な事例でいけば、傷病の治療方などがよく話として聞きます。医師は自分の専門的分野の治療範囲で治療方法を決定します。外科医であれば手術を行い、内科医であれば投薬治療を試み、どちらでも治らなかったガンが重粒子線治療で回復した例を知っています。これはコーディネートする役割の方が、担当医に断りを入れ、他の治療法を患者に勧めて実現したのでした。患者からすれば、早く、リスクがなく、費用も安く済むことが一番有り難いのですが、担当医は自分が得意とする専門治療から考え、プライドが高く、どの治療が一番適しているか、他分野も含めて考慮することは殆(ほとん)どありません。

なので、外科医であればどのような手術が有効であるかを考えてくれますが、投薬やその他の治療方も平等に可能性を探るわけではありません。患者は知識がありませんから、治療方法において意思決定は、医師に任せるしかありません。結果的には不利が生じることも現実には起こっています。また、意思決定が個人の資質によって精度を欠く場合では、専門性や知識、思考法も挙げられます。

先のアイコの場合、かなり個人的な状況下での意思決定、つまり「相手の気分を害する」と言うリスクさえ避ければ、気ままに選択しても差し支えない意思決定と言えます。しかし、このような個人的な意思決定と対局にある政治的な意思決定では、その複雑さを極めます。

政治とは少し異なりますが原発事故を対処する意思決定機関での選択は、少し考えただけでも疲れてしまいます。原発事故被害に対する説明責任や救済を果たすため、その見解や決定事項を、メディアを通じて公表するとき、それらの纏まったプランに対して意思決定を構成する要素は膨大です。まず、事故の原因、一箇所か複数箇所か複合的か、物理的か人為的かソフトウェア等か、そしてその範囲やレベル。それからその事故原因には違法行為やガイドライン等のマニュアルを逸脱したものであるか否か。事故に起因する地域への被害、これについてもその範囲や程度、どれくらいの規模で、どのような対処をするのか、対処の場合は被害地域の範囲を決める基準、それに被害者数と被害レベルと時間経過によって変化する被害状況、原因究明の進捗、事故処理に対する人員確保とその安全保障、そのスケジュールや進捗(しんちょく)、物損被害の総額、事故処理に掛かるコストの予測、資金の捻出や調達のスキーム、専門家等の意見や情報収集とその分析、これから起こる可能性があるリスク、電力会社、メーカー(重電と建設会社)、政府(内閣府内閣官房経済産業省文部科学省など)の責任範囲と役割の確認、マスコミの質疑応答などの対策・・・・・様々な問題と確認、そして関係、関連する部署や企業、特殊法人系や政府との意思疎通、説明時の言葉の選択と注意、目的、落としどころ、基本姿勢、倫理性、ありとあらゆることが問われ、責任や利害関係は複雑に絡み、しかも状況は時間と共に変貌してゆきます。このような状況下で最適な意思決定、最小限のリスクで治まる意思決定、こうなると誰にも分かりません。(ウィキッド・プロブレム・ソルビング = 利害関係者が多数絡み、意思決定のプロセスは複雑で、なおかつ正しい解答はない) 

次回にあらためて意思決定におけるプロセスを整理してゆきましょう。


★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/

 0447 転職のスキル、準備編44 意思決定3

前回を参考に、ここでアイコさんが歩数計を購入するまでのプロセスを追ってゆきます。

(1)まず、最初はこの歩数計を購入すること、つまり、プレゼントを買う必要を感じた原因となる「動機」や「起因」、あるいは「引き金」と呼ばれるもので、必ず内的要因と外的要因が存在します。
アイコさんがプレゼントを買う動機は、取引先の上司が誕生日であること。交流会に来るということの外的要因です。この時、対応としては交流会そのものを欠席すること、いわゆるドタキャンも、出席はするがプレゼントなし、と言うことも選択できます。しかし、彼女は出席して、プレゼントも用意することを選択、実行します。それは交流会を毎回楽しみにしていて、今回も同様に期待している。プレゼントの購入は、相手が喜んでいる姿が想像できる、仕事上の良好な関係を保つことに寄与し、自分の好感度を上げることを印象づける。もしくは好意的関係が悪化することを防ぐ効果が期待できます。彼女はこれらのことを直感的に頭の中に描き、その内的要因がプレゼントを贈ることに迷いない動機となったわけです。

(2)次に、実際にプレゼントを買いに行く時、どのような選択をすれば喜ばれ、効果があるのか?もう一度、相手との関係やプロフィールを確認、考えます。いわゆる「現状把握」、「現状確認」とよばれるものです。
   プレゼントを贈る相手は30代半ばの男性、既婚者、小柄で少し太り気味、取引先の上司、陽気な性格の印象、これまでに仕事上では何度も会っていますが、飲み会では初めて。プレゼントを選ぶ時間的余裕は約1時間。趣味が何かは知らない。

(3)アイコさんが想像する「着地点」、プレゼントを贈る意味、最大の目的は「より良好な関係を保つ」である。交流会に取引先の上司が来る、しかもその上司は誕生日であるとの連絡に、アイコは無視したり、知らない振りをしてやり過ごすことは、事前に連絡を頂いたことに反して、良い結果は生まれないであろうと感じたのです。このことから「誕生日を祝う=プレゼントを贈る」と単純な発想ではあるが、それ以外に特に方法は浮かばないので、問題はプレゼントの内容に移ります。仕事上は大切な関係である相手ですが、個人的には近いとは言い難い、親しい間柄ではありません。当初、彼女はプレゼントを失礼のない、儀礼的な行為として対応を考えていました。それで充分、プレゼントを贈る意味が達成されると考えていたのです。

(4)しかし、百貨店に行き、予定していたハンカチ等を手にしてみると、ありきたりでつまらない贈り物に思えてなりません。時間も限られていることから、彼女は友人に電話をして意見を伺います。そこで様々なプレゼントの種類を参考にして選択肢が広がります。改めて、アイコはどのようなプレゼントがより有効であるかを検討します。

(5)取引先との良好な関係を保つ、その目的だけであればどのようなプレゼントでも、贈り物を手渡すだけで問題はなさそうです。アイコのプレゼント選択基準は、まず価格帯が3,000円前後、これは考えが変わりません。相手との関係性、自己負担額を鑑みると妥当な金額と思っています。それから、その3,000円で買える物で比較的高級なもの。
これは、例えば3,000円で腕時計やネクタイは明らかに安物ですが、ハンカチや靴下では高級ではないかと判断しました。このことはアイコが以前に、会社の上司からアドバイスを頂いた知恵です。「その金額の範囲で高級な物を贈物としなさい」、これをプレゼントの価値基準として選択しますが、ハンカチではあまりにもありきたりなので、友人に意見を求めた後、その価値基準に「実用性」や「楽しさ」も追加して考えました。

(6)アイコは使って楽しいものが同じような価格でも、より相手に喜ばれ楽しんでもらえて、印象も良いのではないか、そう考え直してスポーツグッズを探し始めました。最初は考えてもいなかった物です。スポーツグッズが並べてある売り場を歩き、直感的に「面白そう」と手にした物が歩数計だったのです。
価格は4,000円に近いものでしたが、歩数計の中では中の上といったクラス、実用的でもあり、使って楽しそうでもあり、アイコが考えていた条件に凡そ満たしているので、購入を決定したのでした。もちろん、相手が持っていたり、嫌味に受取られる可能性はありましたが、それでもアイコはハンカチを選択するより、喜ばれ、印象付られるのでは、と期待が膨らみ決定に至ったのです。

★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/

 0446 転職のスキル、準備編43 意思決定2

次の事例を参考にして、意思決定のプロセスを具体的に考えてゆきましょう。

『 アイコさんは入社4年目で、電子部品の営業をしています。今夜は取引先や関連会社等の定期交流会があり、表向きは交流会ですが、いわゆる同世代での「飲み会」で集まるメンバーも殆ど同じ、気ままな飲み友だちといった感覚で出席しています。

ところが三日程以前、いつものメンバーの1人から「今度の交流会に上司も出席する」との連絡があった。以前にも何度かあったことなので特に驚くこともなかったが、その上司が誕生日なのだと言う。そこでアイコは他のメンバーに連絡を取り、プレゼントを用意するのかどうかを尋ねた。微妙な返答だったが、用意した方が無難かな?という結論だった。特にアイコの立場から言えば一番の得意先の上司となるので、必要だろうと考えた。 』

さて、アイコは飲み会の当日、退勤してからみんなが集まる店に行く途中に、どこか立ち寄ってプレゼントを買うことにしました。得意先、交流会メンバーの上司、男性30代半ば、既婚者。プレゼントは何にしようか?金額はどの程度の物が妥当か。そして時間はせいぜい1時間足らずしかない。
アイコの頭の中はグルグルと考えを回らせながら、彼女の足は百貨店に向いていました。

彼女のプランはこうです。大袈裟すぎてもいけない、義理チョコのようになっても失礼、価格は3,000円前後、判断基準は高級品であること。

そこで、彼女が思いついたプレゼントがハンカチや靴下等だった。あとはデザインや柄や色が好感の持てるものがあるかどうか、そう考えていました。

しかし、アイコは迷います。実際に手にしてみたハンカチや靴下はどうもしっくりきません。何か地味で、楽しさや遊び心が足りない。決め手になるものが何か欠けていたのです。時間に余裕がなく、彼女は友人に電話をかけ、何か異なるアドバイスを求めます。時計、電気ひげ剃り、香水、ネクタイ、財布、バッグ、アクセサリー、万年筆、ボールペン、下着、洋菓子、和菓子、音楽CD 洋画DVD、Tシャツ、グラス、茶碗、ハンドクリーム、シャンプー、スポーツグッズ、花束等など、ひとりで考えているより実にたくさんのものが飛び出してきました。その会話の中で引っかかったことが「30代男性の悩みは運動不足」と友人が言ったことです。結局、アイコは百貨店のスポーツ用品売場で目に付いた歩数計、今では進化してカロリー消費量まで計算するものを購入し、それをプレゼントにしました。
交流会には約束していた時間にギリギリ間に合いました。

次回以降二、上記の例を参考にしてアイコさんが歩数計を購入するまでのプロセスを追ってゆきます。

★総合案内ビジネスていレベル研究所http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/