0096 労災保険3 認定について

業務遂行性には「支配」と「管理」という言葉に重きがありますが、要するに「仕事中」であること。業務起因性は「私的行為でない(故意でないも含む)」と、問題はこの2つの条件の範囲になってきます。

そもそも労災保険は仕事中のケガや病気に対しての保護、補償を目的としています。それにともなって事業主が労働者に責任を負うかたちとなっていますから、対象外条件はなんと言っても「私的行為(故意も含む)」ということになります。

遂行性の支配と管理の範囲は作業場内、通勤途上、出張中そして施設内のハード面も管理責任の対象となります。労災保険情報センターの例をみると、施設内で休憩中に食堂の段差で足を滑らしケガを負った場合、休憩中は事業主の支配外で自由、私的行為と解釈されますが、廊下に油がこぼれていて、それが原因で足を滑らした場合、施設内の管理不備とみなされて労災保険の対象となり、一方、休憩中に施設外のレストランに食事に出掛け、何かに躓きケガを負った場合、私的行為中の事故とみなされ対象外になる可能性が高いといえます。

ビルの警備を職務とする警備員が、侵入者と格闘になり負傷した場合、もちろん業務上のこととして認定されますが、例えば格闘になった侵入者が実際にはその警備員と私的な怨恨関係にあった場合、認定は困難になります。

また駅前でパンフレットを配布中に第三者から暴行を受けて負傷した場合、パンフの配布が業務上であり、かつ「もしてかすればそういった事故が起こり得る」想定内であれば業務起因性有と判断され、認定される可能性が高いとなっています。もちろん上記と同様、加害者との私的関係がないことが前提です。また相手を挑発したり、不適切な行為等の事実があれば、認定される可能性は低くなります。

自分が住んでいる社宅が火災に遭い、消火活動にあたり負傷した場合、業務上となり得るか?では、否認されています。「社宅を守る」=「会社の資産を守る」のような業務上にも思えますが、社宅でなく普通のアパートで暮らしているのと何ら変わりない「私的な生活空間」での災害で、仕事中と断定するには到底無理があります。消化活動は誠意や良心で、認定の条件にはならない。消化活動そのものが会社や上司からの指示で行ったものであれば、認定の可能性も出てくるようですが、そうでなければ私的行為として扱われるようです。

従業員が参加の対象となるバーベキュー大会があり、そこで事故に遭って負傷した場合の判断では、業務上と言えるかどうかが焦点となります。仮に費用の全額が会社負担であっても、それは福利厚生的な扱いとなり、強制的な参加でない場合は私的行為とみなされるようです。運営方法、参加方法、費用負担などの総合的判断での判定となるようです。

ただし、こういった社内行事の世話役や幹事役は別の判定が多いようです。つまり任意の一般参加者と同様な扱いではなく、世話役や幹事役は、その行事に対しての進行や管理に一定の責任が生じます。それは業務遂行性が認められる場合が多いようです。

いくつか労災認定の判定を紹介しましたが、上記は「労災保険情報センター」のホームページに出ているものです。この記述にあったて数冊の専門的な書籍を参考にしましたが、認定に関する多くの内容はこの労災保険情報センターに出ている内容と同じで、量、質とも優れています。もっと詳しく知りたい方は是非、上記にアクセスして参考にして下さい。→http://www.rousai-ric.or.jp/case/tabid/71/Default.aspx 

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