0110 完全固定費

給料の総額から散々社会保険料や税金などを引かれて、哀れな手取収入。今度はこの手取収入から様々な支払いが待ち受けている。もちろん収入額にもよるが、遅かれ早かれいずれは殆どが費用として消え失せる宿命なのだ。自分の手の上で遊んでいる時間は、額が少ないほど短い。長ければ良いってもんでもないが・・・。

さて、この手取収入から税金の如く失われるのが、住宅ローンを含めた様々なローン、家賃に管理費、それから生命保険や損害保険など。毎月、決まった日に決まった額が引き落とされる、名付けて「完全固定費」。その代表的固定費が住宅ローン。20年、30年、人生の多くをこのローンに捧げ、毎月のローン代は知らん顔で、減ることはないが、手にした住宅という資産は日に日に劣化してゆき、無事に払いきった頃には、自分の体と同様、頭は禿げて手はシワだらけになっている状態だ。おそらくガンに冒される日も近い。そう思えば家賃を払って、たとえ自分の物にならなくとも、嫌になれば別の場所に引っ越しできる気軽な賃貸物件の方が良いかも知れない。固定資産税もないし。

それから生命保険や損害保険。これらも掛け捨てであるなら完全固定費。もちろん、もしものための費用、いざとなればリスクをある程度カバーしてくれるので毎月せっせと払っているのだ。この先、保険の対象になるリスクが起こらないと分かっていれば、誰が月々おカネを払うというのだ。

まあ、保険も配当や解約払戻金などがありますから、正確には完全費用と言えない面、あるいは貯蓄性の高い、もっと言えば投資に近い商品もあり、そうなってくると元来の目的「保障」のためとは言えず、金融商品が持つ(そもそも保険は金融商品ですが)投機性の濃い金融資産と考えた方が合理的です。そうなってくると完全固定費の分類に属するとは言えません。

しかし、保険の内容(掛け捨て部分と貯蓄の部分)調べて区別して計算するのは手間が掛かりますし、それから満期と途中解約での払戻金額にも開きが出て、不確定でもあります。ここでは、ほぼ貯蓄もしくは、ほぼ投資の性質である保険以外は完全固定費として、配当等の払戻金は、収入扱いで良いと思います。細かく考えてゆくと費用の性質を分類することも、なかなか難しいものです。