0164 遺族共済年金

遺族共済年金の内容のほとんどは、遺族厚生年金に基づいています。

● 受給要件
(1) 組合員(加入者)が在職中に亡くなったとき。(短期要件)
(2) 組合員(加入者)が在職中に病気やケガ等で診察され、その初診の日から5年以内に、その傷病が原因でなくなった場合。(短期要件)
(3) 障害等級1級、2級の障害共済年金の受給権者が亡くなった場合。(短期要件)
(4) 退職共済年金の受給権者、もしくはその受給資格期間を満たした方が亡くなったとき。(長期要件)
※ 短期要件と長期要件の区別は、遺族厚生年金(当ブログ0160)と同様です。

● 受給権者となる遺族の範囲
第1順位 : 配偶者または子。
第2順位 : 父母。
歳3順位 : 孫。
第4順位 : 祖父母。
※ 共通条件として、同一世帯で生計維持関係があり、主生計維持者の年収が850万円以下であること
※ 上記は受給権の順位です。順位そのものは遺族厚生年金と同じですが、第1順位が失権した場合、同順位の者か該当者がいなければ第2順位の者に受給権が移ります。つまり「転給」されます。ここが遺族厚生年金とは異なる条件です。
※ 子と孫の年齢は、18歳を過ぎた初めての3月末日までが対象です。しかし、障害等級が1級、2級である方は、年齢の制限がありません。ここも遺族厚生年金とは異なる条件となります。
※ 夫、父母、祖父母の場合、60歳までは支給停止となります。

● 失権について
(1) 受給権者が亡くなった場合。(失踪宣告による死亡も該当します)
(2) 婚姻した場合。(事実婚の場合も該当します)
(3) 直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき。
(4) 亡くなった本人との親族関係が、離縁などによって別れた場合。
(5) 子もしくは孫の年齢が18歳を過ぎた最初の3月末日を超えた時。ただし、障害等級1級、2級の方は除外されます。
(6) 障害等級1級、2級の方が、その障害状態が該当しなくなった場合。
(7) 子のいない妻が、遺族共済年金の受給権者になったとき30歳未満であった場合、5年を経過すると受給権は消滅します。
(8) 子のいる妻が、子が18歳を過ぎて該当遺族の対象から外れると遺族基礎年金の受給権は失権します。そのとき妻の年齢が30歳未満であった場合、遺族
基礎年金の失権した日から5年経過すると遺族共済年金の受給権もなくなります。

● 支給額算出
A:厚生年金相当額(総報酬制以前)
(1) 従前額 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.007500 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
(2) 本規定 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.007125 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
B:厚生年金相当額(総報酬制以降)
(1) 従前額 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.005769 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
(2) 本規定 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.005481 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
C:職域年金相当額(組合員期間が20年未満で総報酬制以前)
(1) 従前額 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.000750 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
(2) 本規定 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.000713 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
D:職域年金相当額(組合員期間が20年未満で総報酬制以降)
(1) 従前額 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.000577 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
(2) 本規定 → 平均標準報酬額(平均給与月額)× 0.000548 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
E:職域年金相当額(組合員期間が20年以上で総報酬制以前)
(1) 従前額 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.001500 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
(2) 本規定 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.001425 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
F:職域年金相当額(組合員期間が20年以上で総報酬制以降)
(1) 従前額 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.001154 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
(2) 本規定 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.001096 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
G:職域年金相当額(通常外、総報酬以前)
(1) 本規定 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.003206 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
H:職域年金相当額(通常外、総報酬以降)
(1) 本規定 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.002466 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率

上記を参考にして、遺族共済年金の支給額算出は以下の通りです。
短期要件の場合 → (A1+B1+E1+F1)× 0.75(4分の3)
長期要件で組合員期間20年未満 → (A1+B1+C1+D1)× 0.75
長期要件で組合員期間20年以上 → (A1+B1+E1+F1)× 0.75
※ 短期要件では被保険者期間の300日を保証してくれます。つまり、被保険者期間が300日未満の場合でも300日として算出するため、長期要件の算出した金額を被保険者期間の総月数で割り、ひと月あたりの支給額単価を出して、300を掛ける計算になります。
※ 本来は上記の算式で本規定が使用されるはずなのですが、現在は「従前額保証」となっていますので、従前額の適用でほとんどの場合が有利になります。
※ 遺族共済年金の場合、正確に支給額が知りたい方は、加入先の共済組合に確認をお願いします。共済組合によって算出条件が異なる場合があります。
※ 中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算についての条件、支給額等は遺族厚生年金とおなじです。当ブログ0162を参考にお願いします。
※ 尚、公務員が公務として亡くなったとき(公務員が仕事中に死亡したと認定された時)は上記の額より上乗せがあります。算式は以下の通りです。
支給額 = (A2+B2)× 0.75 +G + H
※ 上記は本規定での算出式です、実際には従前額となるため、規定では上記の給付乗率を0.95で割った数値になりますが、職域年金相当額であるG、Hは本規定で乗率しか確認が取れないため、本規定の算出式にしました。