0170 年金の請求手続き

例えば、年金の受給権が発生する65歳になったからと言って、年金の支給が勝手に受給者の口座に振り込まれるわけではありません。それから65歳になったので、近くの年金事務所や役所の窓口に行って、年金の受取ができるわけでもありません。つまり請求手続きが必要なのです。

通常は60歳になる3ヶ月前に社会保険庁から年金請求書が送られてきます。それまでにも「ねんきん定期便」などが送られてきますので、その時に自分の年金履歴を確認しておくことも重要です。
ねんきん定期便では次のことが確認できます。(1)加入期間(2)加入履歴(どこの会社に何年間納付していたか?)(3)現在までの厚生年金保険料の標準報酬月額等(4)現在までの保険料納付額(5)現在までの国民年金保険料の保険料納付状況(6)現在までの保険料納付額の累計(7)年金見込額

●年金請求前の準備
1)転職や休職等の経歴がある方は、勤めている会社の総務部や年金を扱う部署、または管轄の年金事務所や「ねんきん定期便」等で、過去の職歴や勤務状態等を点検して、おかしな点や不明な点はないかを、また免除期間や滞納に間違いはないかを確認します。
2)もし保険料免除期間があった場合、過去10年間に遡って不足分の納付が行えます。(追納)また、滞納についても、これから約3年間の時限的な特例で、過去10年間(通常は2年)に遡って納付が可能になっています。(事後納付)
3)年金手帳について。年金手帳は原則1人1冊です。紛失や破損等の場合は、必ず「年金手帳再交付申請書」→http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=2301を提出して、再交付を行って下さい。勤めている場合は、会社の担当部署に、国民年金の場合は市区町村の年金課に、再交付手続きを申し出て下さい。

また逆に2冊、3冊と複数の年金手帳を持っている方は、基礎年金番号を確認して下さい。複数持っていても、基礎年金番号が同一であれば問題ありませんが、異なった番号である場合は「基礎年金番号重複取消届」を提出して、一つの番号に統一する必要があります。

年金手帳は、場合によれば基礎年金番号と名前くらしか記入していない事がありますが、名前や生年月日、住所等の記入が間違いなく記入されているか、女性の方では婚姻前の氏名になっていないか等を確認しなければなりません。
4)合算対象期間の確認。受給要件では年齢と、この合算対象期間が25年以上ないと受給権が発生しません。ずっと同じ会社に勤めていれば問題ないと思いますが、転職や滞納が過去にあった方などは念のため確認しておいた方が無難です。ねんきん定期便でも確認できます。尚、合算対象期間については当ブログ0134、0135を参考にお願いします。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120507

●年金請求書
 年金請求書の手続きには添付書類が必要になります。以下は、その添付書類の案内です。
1) 年金手帳、または被保険者証
2) 本人の戸籍抄本
3) 雇用保険の被保険者証
4) 配偶者、子の戸籍抄本(謄本でも可)
5) 配偶者の年金手帳
6) 配偶者が既に年金受給をされている場合は、年金証明書などの写しが必要
7) 共済組合の加入者は年金加入期間確認通知書が必要
8) 加給年金額等の加算額に該当する者がいるときは、その住民票
9) 加給年金額等の加算額に該当する者がいるときは、その非課税証明書または源泉徴収票
10) 請求者が、障害等級に該当する障害状態である場合は、医師または歯科医師の診断書が必要
11) 生計維持関係において、現在の年収が850万円以上あるが、5年以内に850万円未満に見込める場合は、その見込を裏付ける書類(就業規則や退職期限、源泉徴収など)が必要
12) ねんきん定期便などで、実際には加入して保険料を納付していたが、記録上未加入となっていて、その期間の在職を明らかにできる書類
※ 戸籍謄本とは、戸籍にある全員の記載で、戸籍抄本はその中の1人の場合です。現在コンピューターで管理されている場合が多くなっているため、戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」と称され、戸籍抄本は「個人事項証明書」となっています。
※ 戸籍抄本や非課税証明書などの役所で発行する証明書類は、提出する直近のものが必要です。

●年金の支給
請求書を提出して、その後に裁定があり、約1〜2ヶ月程度で年金証書、年金裁定通知書が送られてきます。年金の支給はその後になりますから請求してから約3ヶ月前後かかります。 
年金の支払日は、原則として偶数月の15日で、1回の支給額は年額を6等分した金額になり(年金決定通知書等に記載されている金額の6分の1)、月でゆくと2ヶ月分の支給となります。

尚、15日が土曜、日曜、祝日になった時は、その前日が支給日になります。
振込などの金融機関は、ほぼ全ての金融機関が対象になっています。年金請求の時に指定の金融機関である口座を指定することになっています。

日本年金機構、年金請求については→http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=5114
日本年金機構、請求、届出様式については→http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=6097
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