0200 所得税10 利子所得2 預貯金と公社債

さて、この税法上の利子所得について、もう少し詳しくみてゆきましょう。

利子所得に該当する「利子」の範囲を前回お伝えしましたが、内容を大きく分けると3つに分けられます。一つは「預金、貯金」、もう一つが「公債、社債」、それと「投資信託」の3つです。

● 預金、貯金の利子
預金は「お金を預ける」、貯金は「お金を貯める」、以前どこかで銀行に預けることを「預金」、郵便局に預けることを「貯金」と聞いたことがありますが、どちらにしても金融機関に大事なお金を預けて、その利息によって収入を得ます。このとき普通預金にしても、定期預金や積立にしても、預けた元本は減ることがありません。投資でもなく、投機性もありません。金融機関に資金を預けた期間による金利と、その資金を使用してサービスを受けることができないと言う、トレードが「利子」に当たることになります。

この預貯金に関する課税の時期は、通常は利息が支払われる時に源泉徴収されます。しかし商品によっては、この利息が再度元本に組込まれる預貯金もあります(複利)。その場合は利子が元本に繰入れされる日が課税される日となり、税引き後の利子が繰入れされることになります。
定期預金等は、満期までの利息は、満期日に源泉徴収されますが、満期日以降の発生する利息については、支払い日に源泉徴収されます。複利条件である場合は前述同様になります。解約の場合は、解約した日に事実上清算されますから、この時に源泉徴収されることになります。

● 公債、社債の利子
ここで、債券の仕組みについて、少しふれておきます。とは言っても債券にも様々な種類がり、それぞれ内容が異なりますので、ごく一般的、簡単な説明に留まります。

債券には債券市場があって、そこで売買いされ、日々変動してゆくわけです。どの債券が、どれくらい安全であるのかについて、国債や上場企業の社債等は、格付け機関が判定して公表しています。債権なので、発行母体からすれば借金にあたります。この発行母体が倒産等の債務不履行状態に陥れば、債券に投資した資金は戻ってこないリスクがあります。預金等の扱いと異なり、預金の場合は預け先の銀行が破綻しても、一定額は保護されますが、債券の場合は保護されません。

しかし、この利子所得に該当する債券は、元本割れが起こるリスクが極めて小さい債券に限られています。主に国債や大手企業の社債が、これに該当します。

国債社債にしても多くの種類が金融商品として存在し、それぞれに条件が異なり、課税関係は、その種類と債券を利用して経済的利益を得た内容によっても、認識が違ってきます。債券で得られる利益内容は大きく4つあります。
(1) クーポン(利札)
  クーポンとは利息のことです。利付債では半年や1年ごとに利息の支払いがあり、むかしは債券本体に、このクーポンが付いていて、期日がくればクーポンを切り離して換金していました。現在では殆どがペーパーレスのためありません。
(2) このクーポンを再投資、利息が生む利息、つまり複利のことで、上記(1)は単利になります。
(3) 保有している債券を、満期まで待たずに売却したときの売却益。
(4) 償還差益。満期が来て額面通りの金額に換金する際、その額面より下回った金額で債券を購入していれば、差益金が発生します。このことを償還差益と言います。
※ 上記(1)〜(4)はあくまで一般的な債券に関する、利益発生の内容です。

上記(3)の債券を売却して得た利益は、譲渡所得に該当し、総合課税として扱われる場合と非課税扱いとに分かれます。しかし、利付債に関しては、売却しても非課税扱いです。

上記(4)の償還差益金ですが、これは債券の償還(満期)日に換金されるわけですが、このとき発行価額もしくは購入価格との差が生じてきます。この利益が償還差益金となり課税されることになります。(または損失が生じる場合もあります)通常は雑所得に該当し、確定申告が必要になります。しかし、割引債等の償還差益は利子所得として源泉徴収されます。

※ 債券に限らず、株式等の金融商品は、その商品を購入するときにリスクの一部として、課税関係も確認されることをお勧めします。そして購入先の金融機関には説明の義務があり、また証券会社等のホームページでは、扱う金融商品の課税に関する情報を得ることができます。名称が似ている金融商品でも課税条件は異なることが多いので、ご確認をお願い致します。
★利子所得に該当する公社債の多くは、利付債と割引債です。この内容は次回にお伝えします。

大和証券、預貯金→http://www.daiwa.jp/money/products/deposit/
※知るぽると、預貯金→http://www.shiruporuto.jp/finance/kinyu/hyakka/pdf/hk0201.pdf
※知るぽると、国債、公社債http://www.shiruporuto.jp/finance/kinyu/hyakka/hk2305.html

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