0201 所得税11 利子所得3 利付債と割引債

利子所得に該当する公社債の種類で、多くは利付債と割引債に分かれます。

現在、証券会社等で気軽に購入できる、個人向け国債は、この利付債になります。利付債は固定利付債(確定利率債)と変動利付債に分かれ、その名のとおり予め利息が約束されている国債と、状況によって半年ごとに利率が変動する国債があります。

また割引債は、予め利子相当分を割り引いた価額で発行し、償還されると額面金額が戻ってきます。例えば、債券の発行価額が95円で、5年後に100円の額面金額であれば、5円の差額が利益となります。

個人向け国債は利付債で半年ごとに利息の受取りができるようになっています。償還されると元金が戻ってきて、それまでの保有期間に利息の支払いがあるわけです。
利付債では3ヶ月、半年、1年と、その債券によって利息の支払い期日があり、その利息が利子所得に該当し、支払いの都度、源泉徴収されますから、受取った利子額は既に税金を払った後になっています。いわゆる天引きです。これは前回のブログ0200で説明したクーポンのことです。

利付債の場合は、償還されるまでに、途中で保有している利付債を売却しても、譲渡所得には該当せず、非課税扱いとなっています。債券の売却によって得られた売却益は、譲渡所得の扱い、総合課税となる場合は、利子の支払いがない、あるいはあっても極低率であるものが多いようです。例えばゼロクーポン債等が該当します。

また償還によって得られる差益、発行価額または購入価額から、債券が償還日(満期)を迎えた日に換金した価額の差である損益、つまり償還差益金は雑所得に該当し、総合課税の対象になります。
 
割引債の課税は、通常その債券を購入するときに源泉徴収されます。税率は所得税18%で住民税はありません。特別措置法により18%のみで、一部の政令が指定する割引債では16%の債券もあります。

割引債は利付債のように利息が発生しません。ですから利益が生じるのは償還差益金のみとなるわけですが、この償還差益には、発行時に源泉徴収され納税が完結しています。

利息が発生しない債券でありながら、利子所得として、しかも購入時に源泉徴収するという強引な課税ですが、この割引債では「償還差益=利息」と認識された債券になります。

途中で売却すると、利付債と同様に非課税ですが、一部の割引債では売却益が譲渡所得に該当し、総合課税の対象となります。

利付債にしても割引債にしても、結局は利回りが有利かどうか、利息収入が経済的利益の殆どになります。利付債の利回りは簡単ですが、割引債は購入価額から利回りを計算する必要が出てきます。しかし、割引債の商品設計は、通常複利計算されています。利子が生み出す複利キャッシュフローを現在価値に割引しています。加えて額面からその分を差引いた発行価額になっていますから、購入金額も少なく、一般的には利付債よりも割引債の方が有利であることが、多いようです。
※ 所得税率に関しては、来年の平成25年1月1日から25年に渡り、東日本大震災の復興目的として、現在の税率に2.1%(1.021)を掛けた税率に変更されます。

国税庁、利子所得→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1310.htm
※知るぽると、利子所得→https://www.saveinfo.or.jp/life/zeikin/syotoku/syotoku003.html

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