0045 資格に頼るな!

いきなり今回のタイトルを「資格に頼るな!」としましたが、もし取りたいと思っている資格があるのなら、それは取るに越したことはありません。
何かにチャレンジし、その道の一つの目標に資格を設定することは、モチベーションの向上や勉強の方向性を示してくれます。資格取得は自分にとっても他人からみてもプラスの要因で、取得したことによって自分自身や他人からもマイナス要素となることは考えにくいことです。
 
確かに様々な資格は他人に伝え難い能力を、簡単に一定の評価として認めてくれる「担保性」が大きな魅力といえます。しかし、過度の期待は禁物です。多種の資格があって一概には言えませんが、30代後半を過ぎれば、資格取得はおまけの様なもの、と考えていた方が良いでしょう。

資格の中でも、その資格がないと、そもそもその職業に就けない、言わば専門性の高い資格があります。
例えば、医師や弁護士、公認会計士に税理士といった難関資格。医師、弁護士は現在では事実上、その方面の大学、大学院で単位取得しないとなれない職業になっています。会計士もインターン制になってきていますし、税理士にしても実務が必要です。難関試験の上、2次試験後にもプロとして登録されるまでに幾つかの壁があります。
そして基本的には資格取得しても年収等の所得が約束されているわけではありません。専門性の高い職業は社会的な責任も重く、結局は俗にいう「お客」がきて成立するのですから、そこは他の業種と何ら変わりはないのです。

職種によって様々な資格があるわけですが、例えば転職で職種を変えようとチャレンジする場合、年齢にもよりますが、その道の資格を取得しても、採用には結びつかないケースも多く、効果があるのは20代までと思っていた方が無難です。

経理職に希望して、過去に殆ど経験がないから簿記の資格を取った。自分の中では価値のある勉強だったにしても、実務経験がなければアピールするところは資格だけになります。もし資格がなければ希望だけで、何もアピールできないことになります。こうしたことに企業が興味を示すことは滅多にない、そう考えていた方が自然です。同じ努力をするのなら、資格ではなく、アルバイトでもパートでもいいから、規模も小さなところで構いませんから、税理士事務所や会計士事務所等で働く。兎に角、先にその方面の仕事を経験することが大切で、そちらのアピールの方が相手には伝わります。「絶対にその方面の仕事に就きたくて」という意志を認めてもらうには、資格という「知識」ではなく、実務経験という「行動」が問われると思って下さい。

また、会社や担当者によっては、資格そのものの内容も知らない、そういったことも多々あります。これでは、何をどう評価されるか分かりません。資格は「取らなければならない」と、必要性があって取得し、生きてくるのです。

もし、あなたが何かの資格取得を考え中であれば、それは個人的な「自己啓発」程度の効果くらいに考えて下さい。再就職の武器に!と期待に胸を膨らませ、お金も時間も費やした結果「何の成果もない」となり、そのショックで様々な「やる気」が失せてしまう、これが資格取得の副作用です。もちろん、ないよりあった方がいい、しかし「効果があればラッキー」くらいの期待でチャレンジしましょう。