0219 所得税29 不動産所得6 不動産所得に算入できる費用

さて、不動産所得は「収入−必要経費」となっています。課税対象となる金額を算出するにあたって、この費用の範囲は重要な役割となってきます。

必要経費として算入できる費用は、以下のようなものがあります。
(1) 管理費等・・・・・・例えば不動産管理会社に、建物等の管理を委託した場合、その支払う管理料等が該当します。

(2) 損害保険料・・・・・火災保険料等

(3) 地代・・・・・・・・例えばマンション経営等で土地を借りて運営している場合、地主などに支払う地代が該当します。

(4) 固定資産税等・・・・・固定資産税や都市計画税、事業税も経費として算入できます。所得税や住民税は経費として認められません。また、固定資産税等であっても、延滞金や加算金等があった場合、その部分は経費として算入できません。

(5) 借入金の利子・・・・土地や建物等の不動産取得にかかった借入金の利息が該当します。ただし、不動産所得が赤字で損益通算となる場合、利息の計算は除外されます。また、元金の返済部分は算入できません。取得にかかる借入金の利子であっても、その取得した不動産の使用開始前で一定の利息は不動産取得価額として算入します。

(6) 修繕費・・・・・・・・修繕費とは、補修や簡単なリフォーム等の様々な場面を含みますが、増築や改築等の大掛かりな修繕の場合も税務上は修繕費の名目で費用として処理されます。しかし、修繕費の名目であれば、どのような規模でも同等に扱われるわけではありません。資本的な支出として見なされた場合には、費用計上の名目も会計処理も変わってきます。劣化した部分を元に戻したり、老朽化した機能の一部を交換復帰させたりする範囲では通常の修繕費として計上します。修繕の規模が大きいとされる「資本的な支出」に該当するケースとは、資産的価値を高める行為にあたり、実質的な資産の増加を意味します。従って修繕費の名目で計上される費用は、劣化等で起こった資産の損失を元に戻す費用であって、それ以上の部分は資産増加にあたり、必要経費ではなく投資的な意味として出費された費用計上となります。現実には様々なケースがあり、細かい部分についての判定は困難で、税務当局もしくは専門家の相談が必要と思われます。
国税庁、修繕費とならないものの判定→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1379.htm

(7) 減価償却費・・・・・・例えば、ビル(建物等)を現金1億円で買った場合、建物という資産が1億円分増え、現金1億円が減少します。減価償却は、この建物という固定資産が年月とともに劣化してゆく資産価値の減少、あるいは費用面から見ると建物の利用価値が25年で見積もった場合、1億÷25年=年間400万円の費用配分を行う会計手続きで、実際の出費はありません。減価償却費は固定資産を期間ごとに按分した費用計算と言えます。しかし、按分する期間や費用を自由に設定できるわけではなく、建物の使用期間では実際利用できる期間とは関係なく、税法が規定する期間「法定耐用年数」に従い、費用の計算は定額法もしくは定率法によって費用計上します。
★当ブログ0244減価償却費→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130223

(8) 立退料・・・・・・・・原則、費用計上できますが、土地や建物の譲渡による立退料では譲渡所得として、取得による立退料は不動産取得費、または取得価額に算入します。

(9) その他・・・・・・・入居募集の広告費や、共用部分の光熱費、消耗品、申告に要する税理士報酬やトラブルによる法律相談、弁護士料なども算入できます。
 
減価償却費としての計上は、個人では強制的に計上で、法人では任意とされています。また、建物等では「建物」「建物に付随する設備」に分けられますが、建物の減価償却費の計上方法は平成10年4月以降取得分から定額法のみとなっていますが、設備については定率法も可能とされています(届出が必要)。青色申告では少額減価償却資産の償却方法に関する特別措置があります。また、10万円以上20万円未満の資産については「一括償却資産」にあたり、3年間にわたり毎年、3分の1ずつ費用計上して償却します。10万円未満の場合は消耗品として通常の費用計上が可能で、減価償却の必要はありません。

※法律相談料や弁護士料については、その紛争やトラブルの内容によりますので、税務署や専門家への確認が必要です。
国税庁、やさしい必要経費の知識→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2210.htm
国税庁、不動産用、収支内訳書の書き方→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2012/pdf/32.pdf
※三輪税理士事務所、借地権課税対策室→http://www.shakuchiken.com/

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102

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