0220 所得税30 山林所得

山林所得とは、その山林を伐採して譲渡した収入、もしくは伐採をしないまま譲渡した場合が該当しますが、土地と共に山林を譲渡した場合は、その山林部分の譲渡が山林所得となり、土地の譲渡は譲渡所得に該当します。

また、山林の取得日から五年以内に伐採または譲渡すると、その収入は事業所得もしくは雑所得に該当します。

製材業者が自ら植林、育成、伐採、製材、販売を一括して行う場合、伐採までが山林所得に該当し、製材と販売に関する収益は事業所得としても認められます。

山林所得と事業所得の、どちらに該当する所得であるのか判定するには、税務署や税理士などによる専門家への相談をお勧めします。参考としては、国税庁のホームページQ&Aには次のようなことが記載されています。

「山林の育成には通常50年程度かかることから、山林の伐採、譲渡が事業として行われるものであるかどうかは、伐採、譲渡の反復・継続性のほかに伐採、譲渡の準備行為ともいえる山林の育成、管理の度合も加味して総合的に判断する必要があり、山林の育成・管理が伐採、譲渡のために十分な程度行われている場合には事業に該当することとなります。したがって、植林を行い、伐採、譲渡を行うことを予定して育成・管理を行っていた山林を伐採、譲渡した場合には、たとえその者における伐採、譲渡が数十年に1回しか行われない場合であっても、事業として行う資産の譲渡に該当することとなります。」
 
分収造林契約と分収育林契約では「土地の所有者」「造林者(育林者)」「造林(育林)に要する費用の負担者」である3者のうち2者が当時者となって造林または育林に関する契約を締結し、その収益を一定の割合において分収します。この時もその収入による所得区分は、原則上記と同様に山林、事業、譲渡等(雑所得、不動産)の所得に区分します
 
山林所得の所得金額は「総収入−費用経費−特別控除(最大50万円)」で、原則として分離課税で、他の所得とは合算できない別計算とされています。
この総収入は伐採や譲渡による収入の他、間伐等による付随収入や自家消費、山林の管理上による保険金や損害賠償金の収入も含まれます。収益の計上は原則として、引渡しのあった日になります。

費用については、取得費、管理費、植林費、育成費、伐採費、譲渡費用や運搬費などで、これらの費用は、原則として伐採や譲渡をして収入を得た山林に対してのみに係る費用とされています。また、災害等による損失も算入できます。

費用計算においては、伐採等の収益が一時的であるのに対し、山林の費用は何年もの累積となりますから、個別対応で計算します。しかし15年前(平成24年なら、平成9年)の12月31日以前から所有している山林の経費については「概算経費控除」が適用されます。

※ 山林の伐採については、原則、森林法によって届出が必要とされています。
※ 「概算経費控除」の算式は「(収入金額−伐採費、運搬費、譲渡費用等A)×50%+A+災害等の損失」ですが、詳しくは国税庁ホームページ措置法第30条「山林所得の概算経費控除」で確認、もしくは税務署にご相談下さい。
※ 山林所得の税額計算は他の所得と分離され「5分5乗方式」で算出します。これは課税所得を5分の1にしてから税率を掛けて、その後に5倍します。
※ 青白申告では、更に10万円の特別控除があります。
平成27年までは、森林法の規定による市町村の認定を受けた森林経営計画に基づく山林の伐採については「森林計画特別控除」が適用できます。

国税庁、山林所得のあらまし→
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2012/kisairei/sanrin/pdf/07.pdf
国税庁、山林所得→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1480.htm
国税庁、山林所得の概算経費控除→
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/710826/sanrin/sanjyou/soti30/01.htm
国税庁青色申告制度→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2070.htm

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