0221 所得税31 事業所得1 事業の範囲

事業所得に該当する職種については殆どの職業が対象になっています。農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、その他サービス業等とされ、不動産の仲介や建設、医師や弁護士、旅館やクリーニング、畜産等も含まれています。

事業所得は、所得税が規定する所得区分10種の中の一つですが、その収益の発生源が配当や不動産等の物や権利から生じる区分ではなく、収益を手にする側の組織的な規模の性質、「事業規模」や「社会通念上の事業」であるかどうかで区分されるため、以前のブログの中で記した不動産所得や山林所得のように、原則は不動産所得や山林所得であっても、その収益は一定の判定基準によって事業所得として扱われることになります。

この「事業」としての収益であると判断する基準については、細かく厳格に規定しているわけではありません。最終的には税務署が判定することになりますが、判定を構成する要素としては次のようなことが挙げられます。
(1) 営利性、有償性の有無。
(2) 継続、反復性の有無。
(3) 自己の危険と計算における事業遂行性の有無。
(4) その取引に費やした精神的、肉体的労力の程度。
(5) 人的、物的設備の規模。
(6) 取引目的。
(7) その者の職歴、社会的地位、生活状況等の諸点。

上記の要素を総合的に判断し、社会通念上の事業と呼べるものであるのかを判定されます。

※上記の「事業」と呼べる判定の構成要素は、国税不服審判所のホームページ不動産所得と事業所得についての判定によるものを参考にしています→http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0202030000.html
 

事業所得の所得金額は「総収入金額−費用経費」で総合課税として計算します。事業としての収入は、個人<事業<法人の規模、前述した「社会通念上の事業」と呼べるかどうかになり、その職種は殆どの職業を含みます。従って事業としての収入は様々なケースが想定され、それによって様々な費用の発生も考えられます。

総合課税は原則、確定申告によって所得税の納税額が確定しますから、事業所得の場合は自ら、その事業による経済活動の記録、取引や費用の収支を簿記として記録し、事業収入や、その収入を得るために掛かった費用等を正確に把握し、事業所得としての金額計算が必要となります。

青色申告は、この会計上の記録を一定の精度をもって記録するように規定し、認められれば事業者にとって有利な特典(節税効果)が適用可能とされている所得税法上の制度です。

青色申告にしろ確定申告にしろ、事業所得を確定するには簿記知識が不可欠になってきます。知識のレベルでは日商簿記3級程度が必要です。

日商簿記3級は、言わば事業者向けの簿記レベルで、原価計算や資本扱いについては、かなり基礎的なものですが、小規模事業では問題ありません。取引上の伝票や、出費による領収書を渡して、会計上の記録や税務申告の全てを税理士に任せることもできますが、それであっても事業の経営者であるなら、簿記3級程度の知識は必須と考えた方がよいでしょう。

この簿記手続きの内容そのものを一つひとつ解説することはできませんが、次回からこの事業所得による収入や費用について、また青色申告について、その計算上の記録をどう認識しゆくのかを勉強してゆきましょう。

国税庁、事業所得の概要→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2011/b/03/order2/3-2_01.htm
国税庁、事業所得の課税のしくみ→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1350.htm
国税庁、事業所得者用、帳簿の記帳のしかた→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2011/pdf/44.pdf
国税庁、事業主と税金→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/shoto316.htm

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