0435 転職のスキル、準備編32 ストレスコーピング

<(4)ストレスコーピング>

ストレスコーピングはストレスの質、蓄積度などを自分で把握し、その対処法も自分で知っておくことがポイントです。つまり、どういうことが起きれば、あるいはどのような状況に陥れば、どの程度のストレスが生じるかを自分自身が知り、そのストレスに対応、対処することがコーピングです。

もちろん、ストレスは仕事上のみに発生原因がかぎられているわけではなく、プライベートでも孤独であっても原因になり得ます。
近年ではうつ病や自殺などの社会的問題もあり、企業にはそう言った原因を生み出す環境は問題視され、法的にも「安全配慮義務」の違反として訴訟で敗訴となることが多発しています。
仕事内容でのストレス要因の主な原因3つは1「要求される度合いが大きい」「自由裁量の範囲が狭い」「ソーシャルサポート(社会的支援)がえられない」で、職場では「人間関係」「上司、部下の関係」が殆どです。

年齢別の大きく日常的なストレス要因は次のようになっています。
「新入社員等の若年層(20代)」では、人間関係や職務での自分の役割、仕事内容の適性、給与を含めた待遇等の問題、プライベートでは親からの自立、異性との交際となっています。これらはストレス要因であって、自立や交際は必ずストレスを発生するものではなく、逆にストレスを軽減する役割となる場合もあります。

「青壮年齢層(30代)」は、仕事での職位が管理職となるケースが多く、上司と部下の板ばさみで、仕事の進行における中心的な役割となり、量、質ともに過重となり、責任と体力にも今まで以上の負荷が掛り、慢性的なストレス状況に陥りやすい立場になります。
20代が独身時代と仮定するなら、30歳では結婚し、子どもが生まれ、家族構成にも変化が起こり、育児や共働きなどプライベートも激変する世代で、ストレス要因となる因子は増加します。しかし、育児などの家庭環境がストレスを減少に導くこともあり、個人的環境や性格によって緩衝要因(ストレス緩和)となることもあります。

「中高年層(40代、50代)」、管理職としても次第に重責な地位となり、その職責や管理監督の範囲も広くなり、指導的な役割が増し、会社からの要求度が高くなります。しかし、体力や記憶力、適応能力など様々な面で衰えが生じる年齢でもあります。
またプライベートでは、子どもが大学などで学費等の費用もかさみ、親が介護状態などになるケースもあり、体力、精神的もたいへんな苦労が生じる世代と言えます。

ここで、簡単にストレスによって心身がどのような状態、状況に陥るのか?その反応を見てみましょう。
[ 心理面 ]
「急性」・・・・不安、緊張、怒り、興奮、混乱、落胆など。
「慢性」・・・・不安、短気、抑うつ、無気力、不満、退職願望など。

[ 身体面 ]
「急性」・・・・動悸、発汗、胃痛、下痢、顔面紅潮、筋緊張など。
「慢性」・・・・疲労、不眠、循環器系症状、消化器系症状、神経筋肉系症状など。

[ 行動面 ]
「急性」・・・・回避、逃避、口論、けんか、事故など。
「慢性」・・・・遅刻、欠勤、作業能率の低下、酒、タバコ、過食、生活の乱れなど。

[ うつ病の疑い ](自分の以前との状態を比較し、その頻度や継続性の度合いにもより、個人差があります)
:悲しい、憂鬱、沈んだ気分
:以前に楽しいと感じていたことが楽しくない、興味がわかない。
:だるい、元気がない、疲れやすい。
:気力、意欲、集中力の低下、何もする気が起こらない。
:寝つきが悪い、目覚めが早い、断片的にしか眠れない。
:食欲がわかない。
:人と会いたくない。
:夕方より朝方の方が気分や体調が悪い。
:心配事が頭から離れず、考えも堂々巡りとなる。
:失敗や悲しみから抜け出せず、失望したまま回復できない。
:自信がなくなり、自分は無価値だと感じる。

コーピングの定義としては「ストレスとなるような場面や状況(ストレッサー)遭遇した際、それらの結果に対して、何とかしようとして用いる認知と行動」とされ、「対処行動」と訳されていますが、特に決まった手法や、万人を対象とする確立された対処があるとも言えません。

まず、自分が仕事や日常の生活において、どのようなことでストレスを感じ、その強さの程度、解決の困難性などを把握します。万人に共通する対処行動がないにしろ、コーピングは大きく5つの方法に分類されます。

[ 問題焦点型コーピング ]
直面している問題に対して、対策を立てて解決を導く対処行動です。例えば、予測をして計画的に対応することもそうですし、周囲の者に協力を求めて解決することも有効です。役割を交代してもらったり、配置転換等の回避行動も含まれます。

[ 情動焦点型コーピング ]
問題解決型が、ある程度の予想や予測に基づいて対応策を考えることであるとすれば、情動焦点型は、失敗や挫折など、既に取り返しがつかない状態に陥り、不安や不満、悲しみや怒り等の感情的な起伏に対処するものです。この場合、上司や同僚、友人などの気を許せる知人、あるいはカウンセラーに話を聞いてもらったりして、感情の発散による対処行動を取ります。逆に、自分の感情を抑圧する対処行動もコーピングと言えますが、多くの方は感情発散型の方が効果的です。

[ 認知的再評価型コーピング ]
見方や認識、発想の転換、あるいは距離を置く等をして、問題や物事の認知を改めます。
これによって適応方法を新たに模索し、前向きな思考となることで対処行動が変わってきます。フレーミングやポジティブシンキングが該当します。

[ 社会的支援型コーピング ]
これはコーピング内容が信頼のおける「他者」の力を借りて対処行動をとることを言います。上記の問題焦点型では周囲の協力を求める、情動焦点型では友人等に相談や話を聞いてもらう等が該当します。

[ 気晴らし型コーピング ]
これが最も単純で、多くの方が対処行動として持っています。スポーツやレジャー、趣味、カラオケ、旅行、温泉、その他。リラクゼーション、ヨガ、呼吸法などのストレス発散や解消の対処です。

上記5つのコーピングは、実際には単独で行われるより、複数が組合わさった対処が有効になる場合も多いと言えます。

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